研究課題
基盤研究(C)
患者は入院するとおおむね臥床状態となるため、日常生活動作能力および認知機能低下が発生することがある。入院目標の疾患の治療ができても、日常生活動作能力および認知機能が低下してしまえば、満足な退院はできない。そこで、本研究では、院内デイケア、個別対応リハビリの介入により、入院患者の日常生活動作能力低下、認知機能低下の予防に関する研究を行う。本研究では、N病院およびT病院の2施設の研究調査を行い、調査結果の信頼性を増すことを目指している。すでにN病院では、院内デイケアシステムがある程度できあがっており、研究調査が進んでいる。1)院内デイケア参加かつ個別対応リハ実施群、2)院内デイケア参加かつ個別対応リハ未実施群、3)院内デイケア不参加かつ個別対応リハ実施群、4)院内デイケア不参加かつ個別対応リハ未実施群の4群を、開始時、開始後3週時、開始後6週時に調査を行い、各群ともおおむね対象患者を得ることが出来た。調査項目としては、看護師による評価項目として、FIM(機能的自立度)、NPI-NH(入院中認知症患者の周辺症状および介護者負担評価)、バーンアウトスケールを得た。また、作業療法士の評価項目として、MMSE(認知機能評価)、コグニスタット、NMスケールの評価も出来た。また、T病院に関しては病院の建て替え(病棟の建て替え)ということもあり、当初の計画通り、開始時期を遅らせたが、同様の研究内容を予定通り行っている。
2: おおむね順調に進展している
N病院では、調査対象:1)院内デイケア参加かつ個別対応リハ実施群、2)院内デイケア参加かつ個別対応リハ未実施群、3)院内デイケア不参加かつ個別対応リハ実施群、4)院内デイケア不参加かつ個別対応リハ未実施群の4群それぞれでおおむね30人ずつと集めることができ、予定通りの進行である。各調査項目としては、FIM、NPI-NH、バーンアウトスケールは順調にデータ取得で、目標完了に近い。MMSE、コグニスタット、NMスケールにおいても同様で、データ取得は完了し、データ整理(入力)の最中まで進行している。現時点のデータで、院内デイケア参加かつ個別対応リハ実施群は院内デイケア不参加かつ個別対応リハ未実施群に比較し、6週間でFIM総得点(機能的自立度)が統計学的に有意によいことを示すことができ、研究計画の一目標を達成することが出来た。また、FIMを詳細に解析し、FIM大項目の移動能力が統計学的に有意によいことを見いだした。研究成果は看護分野の学会発表をし、日本老年看護学会第17回学術集会(金沢)で報告した。
N病院の調査を完了させ、最終解析に入る。N病院においての研究成果を学会報告、学術雑誌報告する。T病院は病棟の完成を迎えるので、本格的調査・解析に入る。ある程度データが得られた段階で、もう一つの研究目標である複数施設での結果を比較検討し、効果の普遍性を実証したい。
N病院においての研究成果報告のための学会報告や学術雑誌投稿に関係する旅費、消耗品などの諸費用に研究費を使わせていただく。T病院の調査解析が本格的に始まるので、調査に必要な環境を整えるために必要な物品、消耗品などの諸費用に研究費を使わせていただく。ただし、すでに調査・解析は始まっているので、ある程度の物品、消耗品は整っている。また、調査に協力して頂いた病院職員には謝礼などの人件費などに研究費を使わせていただく。
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Journal of the American Geriatrics Society
巻: 60 ページ: 505-510