研究概要 |
【目的】要介護高齢者を介護する就労可能な介護者の離職や転職等による身体的、心理的、経済的負担による社会的損失を明らかにすることである。 【対象と方法】対象者は、要介護高齢者(65歳以上)を在宅で介護している介護者(65歳以下)の就労継続者または離職者。研究期間は2012年7月から2012年12月であった。データ収集方法は、介護者に対し就労の有無、経済状態、Zaritの介護負担尺度、POMS短縮版、SOCについて自記式調査票を用いて調査し、データ分析を行った。 【結果】回答者は118名(有効回答率25.2%)、年齢は50歳代が56名(48.3%)と最も多く、性別は女性96名(81.4%)で要介護高齢者との関係は、長女44名(37.3%)、嫁19名(16.1%)、妻13名(11.0%)などであった。介護期間は、平均5.5(±7.19)年であった。介護協力者は、協力者がある者が79名(66.9%)であった。就労者は85名(72.0%)で、うち介護のために仕事を変更した者は43名(36.4%)であった。介護者の収入は、仕事を変更した者が平均1,061,000円、離職者が4,134,706円減少していた。介護者の就労状況に影響を与える要因としては、要介護高齢者の要介護度が高いほど、介護者が離職や就労の変更している者が多く、介護者の年齢、介護協力者の有無も就労状況に影響を与えていた。 【考察】本調査においては介護者の7割以上が就労を継続していたが、介護により就労形態の変更を余儀なくされていた。今後は、さらに対象者数を拡大して調査を実施し、介護者の就労の有無による社会的損失について検討していくことの必要性が示唆された。
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