研究概要 |
本研究の目的は、高齢者の在宅介護者の就労に影響を与える要因を明らかにすることである。研究対象者は、介護開始前に就労していた98名の介護者で、年齢は平均54.9歳(標準偏差±7.0)であった。うち、就労者は69名(70.4%)、離職者は29名(29.6%)であった。離職者では、被介護者の要介護度が、就労者より重度であった(p<0.05)。同じく、介護者の年齢が高く(p<0.05)、女性の割合が少なかった(p<0.05)。離職者は、就労者より介護時間が長く、家族による協力が得られていなかった(p<0.05)。ロジスティック回帰分析では、介護時間(OR 0.99, 95%CI 0.98-1.00)、介護者の年齢(OR 0.80, 95%CI 0.71-0.91)、訪問看護サービス(OR 0.19, 95%CI 0.05-0.75)が、就労と負の関係であるのに対して、家族の介護協力は就労と正の関係があった(OR 5.23, 95%CI 1.41-9.34)。また、要介護度は介護時間と有意な相関があった(r=0.38, p<0.001)。以上より、被介護者の要介護度が重度になると、介護者の介護時間が長くなり離職に至ると考えられた。また、介護者の年齢が若いことおよび家族からの支援は離職を緩和すると推定された。さらに、離職により訪問看護サービスの利用が促進されたと考えられた。
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