研究実績の概要 |
本研究は、看護師による患者への安楽な看護ケアの実践の促進、および看護学の理論的基盤の確立への寄与を意図し、看護実践における「安楽」を、質的および量的研究手法を用いたミックスメソッド(Mixed methods designs)によって理論化し検証することを目的としている。 平成28年度は、理論の検証のために量的および質的研究を実施した。前年度までの作業にて文献検討および質問紙の質問項目の検討を行っており、本年度は、文献検討結果をもとに、概念分析された安楽な看護実践、および、看護実践のプロセスとして明らかになった安楽なケア3類型をコアとする理論の検証を試みた。 質的研究では、臨床看護師9名に半構成的面接法を行い、量的研究では、文献検討で明らかになった安楽な看護の構成要素から質問項目を作成し(5段階のリッカートスケールにて回答)、臨床看護師を対象に自記式質問紙調査を行った。質問紙は、協力の得られた全国の医療機関127施設(499施設に依頼、協力率25.5%)の看護部の協力を得ての臨床看護師に計6,999部を配布した。回収数は2,705件(38.6%)、無効票4件で、有効回答票は2701件であった。その結果、看護における安楽の定義については、『精神的身体的に苦痛がない』に96.2%が「そう思う」と回答し、安楽な看護実践である安楽なケアの3類型「苦痛の軽減や除去」「苦痛の予防」「気持ちよさの提供」を9割以上の看護師が実践していると回答した。安楽な看護の構成要素はおおむね肯定され、安楽な看護実践の理論化が可能であることが示唆された。
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