本研究は、看護技術が備えるべき科学性と看護職―病者の人間関係の両側面から、看護技術の構成要素を確定することを目的とした。本年度は、看護技術と人間関係に関する面接調査を終了し、データの分析と論文執筆を行った。便秘症状の緩和を目的とした温罨法の解説書の作成によって、看護技術の構成要素を検証し、看護技術と看護実践の概念を整理した。 2012年に、475名の看護職から自記式無記名による看護技術の実態調査を行った。エビデンスがある看護技術の普及が不十分で、エビデンスに基づかない技術が普及している現状が把握できた。この調査と文献検討から、看護技術は、①その技術を適用する目的、②簡便で確実な方法、③安全性、④生体反応、⑤反応が起こる理論背景、⑥目的を達成できる確立と有効性を科学的に説明できる必要があると結論付けられた。この構成要素に基づいて、便秘症状の緩和を目的とした温罨法の解説書の作成を試み、妥当性を検証した。 人間関係と看護技術に関して、2014~15年に165名の看護職に自記式無記名の質問紙調査と、8名への面接調査を実施した。その結果、99.4%の看護職が病者との関係性の良し悪しを感じており、約60%は看護技術の効果に影響すると答えていた。関係性が良いとは、看護職に緊張がなく、コミュニテ―ションがとれ、さらに踏み込んでも大丈夫と感じられる関係であり、これは看護技術のパフォーマンスと効果にも影響していた。効果は、技術適用の目的の達成に加え、気持ちいいことや落ち着くことを通して、セルフケアの向上に繋がっていた。病者のみならず、看護職にも向上心や満足感をもたらしていた。 以上本研究により、看護技術の刺激と看護職―病者の人間関係が、看護技術の要素であるという仮説は、看護技術と看護職―病者の人間関係が、看護実践を構成しているに訂正され、看護技術の6要素が明確になった。
|