研究課題/領域番号 |
24593251
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
城生 弘美 東海大学, 健康科学部, 教授 (60247301)
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キーワード | フィジカルアセスメント / 看護師 / 研修プログラム |
研究概要 |
研究目的:平成24年度末に調査した、関東地方北部の総合病院(360床)における新人看護師の一年間のフィジカルアセスメント項目の実施能力の自己評価を調査した結果の分析を行うこと、さらに前年に同じ質問紙で調査した20名分のデータとの関連について検討することを目的とした。 研究方法:平成24年度末に面接調査した16名の逐語録を起こし、質的分析(サブカテゴリ、カテゴリ化)を進める。前年の20名のデータの逐語録を質的分析を行い、両年度で得られたデータのうち共通している新人看護師の語りと異なる語りについて検討する。 結果:十分な分析が未達成である段階ではあるが、おおよその傾向としては、以下の通りであった。配属されている診療科は多様であり一定の診療科に偏ることはなかった。その中で、一般状態を観察するバイタルサイン測定項目の体温・脈拍・呼吸・血圧・意識レベルのうち、数値で示される体温・脈拍・呼吸・血圧に関しては、就職後半年を過ぎれば全員が「自信をもってできる」と回答しているが、意識レベルに関しては、一年を過ぎても「自信がない」と回答する者もいた。しかし、数値で示すものではない皮膚色・顔色・表情などは全員が「自信をもってできる」と回答していた。ほとんどの看護師が経験を経て「自信をもってできる」と回答する項目のうち、「腸蠕動音」は入るが、「呼吸音」「心音」については、一年を過ぎても「自信がない」と回答する者がいた。また、感覚器系に関連する目・耳・鼻・神経等のフィジカルアセスメントは特に未経験者が多く、コミュニケーションが取りにくいや難聴という情報をそのまま踏襲している者が多かった。各診療科での先輩看護師が実施しているフィジカルアセスメント観察項目を踏襲しながら、身体の観察技術の習熟に努力している傾向が伺えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
先行して行った新人看護師研修のデータ分析において、16名の面接調査を行ったデータの逐語録作成と質的分析に時間を要していることと、その前に得た20名の質的分析との関連検討に時間を要しているため達成度としては遅れている。また、5年目以上の看護師に向けての研究計画書作成および研究に協力いただく対象者探しに苦慮し、時間が経過しており、遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究対象者のリクルート方法が難しい面があるため、関連病院の5年以上の臨床経験を有する看護師のみならず2014年9月から開始される実習指導者講習会受講生のうち、研究目的に同意が得られ承諾の得られる看護師に対しても研究協力依頼をする予定とする。調査内容としては、現在の看護業務の中で実施しているフィジカルアセスメント項目とその内容のレベル、また看護基礎教育あるいは看護のテキストで挙げられているアセスメント項目が患者の観察項目としてどのくらいの頻度で実施されるものか、全く実施しないものかを問うこととする。上記で得られた結果から、フィジカルアセスメント項目別の教育の優先度、必要度と患者特性との関連を検討する基礎材料とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
人件費・謝金等の予定額に対し約4万円、その他(会議費・文具等)の予定額7万5千円が未使用となったため。 前年で得たデータ処理分析に時間を要し、新たな面接調査をせずにいたため、人件費の予定額を支出しなかったため。 平成24年度と平成25年度を合わせ、コードレス聴診教育システムを導入し、受信機を買い足した。計11台の受信機で同時に送信機から発する身体の内部音(呼吸音・心音・腸音、等)の聴取ができるようになった。平成26年度はさらに2台購入(280,000円予定)することで全部で13台を稼働できることとなる。この機器を用いながらフィジカルアセスメントテクニックの一つである聴診法の習熟手段として、臨床の看護師の新人教育や研修(学部学生の教育にも活用可能)等に活用する予定である。さらに、看護師への質問調査や面接調査を実施する際のデータ収集後の入力作業等の雇用費用(時給870円×4時間/日×12カ月)約200,000円、データ収集時の研究者の交通費と得られた結果の公開に対し20,000円の支出予定である。前年度の残額に関しては、データ管理用の文具等に当てる予定である。
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