研究実績の概要 |
研究計画③④⑤抗肥満作用と抗酸化作用を伏せ持つKP(Kaempferia parviflora)に昨年度より着目し、その局所療法と全身療法について研究を重ねてきた。その結果、体毛のあるTSODマウスを用いて長期間の皮膚への塗布の局所療法は1か月も継続が難しく、毛を剃ることによる皮膚への炎症の影響を除外することはできなくなったため、本年度はまず全身療法にてより効果的な方法の検討を行った。KPの成分を分析し抗肥満作用と抗酸化作用の強い成分である3,5,7,3,4-pentamethoxyflavone, 5,7-dimethoxyflavone, 3,5,7,4-tetramethoxyflavone (MF)のみを抽出し濃縮した。またそれ以外のKPの成分の効果も確認したいため、その他画分のエキスも作成した。またそれらの抗酸化効果を確認するためDPPHラジカル消去活性を測定したところ、10mg/mLMFは60%消去活性が認められた。これらKPの他、効果の期待されるMF,その他分画のエキスを有効な全身療法としてTSOD肥満モデルマウスに3か月間経口投与し、その効果について知見を得た。皮膚については、KP、MF,その他の分画投与で肥満による真皮、皮下脂肪の炎症所見は減少、特にKPは真皮への皮下脂肪の浸潤がみられず、コラーゲン線維の破壊も見うけられない。 脂肪についての効果は、KPには特に内臓脂肪(腸間膜脂肪)の減少効果、KP、MF,その他の分画投与で肥満により肥大化した皮下の脂肪細胞の小型化が認められた。皮下脂肪からの影響は皮膚に大きいことから、今回、皮膚、皮下脂肪の抗炎症作用、抗肥満作用が確認できたので、効果的な使用法について、KP、MF,その他の分画投与における特徴的な詳細な検討を次年度行うことが課題である。
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