研究課題/領域番号 |
24593256
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
遠藤 順子 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (50433610)
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研究分担者 |
澁谷 恵子 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (50438074)
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キーワード | 看護基礎教育 / 模擬患者 / 教育プログラム |
研究概要 |
平成25年度は、平成24年度に引き続き模擬患者(以下、SP)を活用した学習プログラムを構築する基礎資料を得るため、「模擬患者を活用した教育が看護学生に与える影響」に関する調査研究を実施した。 平成25年度は、平成24年度の研究結果と過去15年間にわたるSPを活用した教育の文献レビューから示唆されたSP参加型教育方法の特徴と課題を検討し、SPが看護学生に与える影響について詳細に調査・分析を行った。その結果、SPを活用した教育においては、SPの数の制約を受ける場合が多いが、学習内容の理解を促す等のプログラム上の工夫やSPからのポジティブな反応を受けることで、SPに対する看護師役体験の有無による学習効果の差は認められないことなどが明らかになった。 先行研究におけるSPを活用した教育効果に関する報告は、その内容にとどまっており、その因果関係などについて詳細に検証した報告は認められない。そこで、生きた教材であるSPとの具体的な関わりがどのように肯定的に、あるいは否定的に学生に影響するのかについて検証した結果は、教育プログラム構築のための貴重な資料となり得ると考える。 なお、平成25年度の研究成果については、平成26年度開催の日本看護科学学会にて発表予定である。 また、平成24年度までの研究結果をもとに教育プログラムの草案作成・実施・評価を行った。現段階でSPを活用した教育の主な要素と考える項目を抽出し、効果および課題を検討した。学生にとってインパクトの強いSPの肯定的な側面のみに着眼するのではなく、場合によっては否定的にも影響しうる側面についても配慮した教育プログラムの作成の根拠を得ることができた。この実践評価も今後のプログラム構築のために不可欠な資料となり得ると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、平成24年度に引き続き模擬患者(以下、SP)を活用した教育プログラムを構築する基礎資料を得るため、「模擬患者を活用した教育が看護学生に与える影響」に関する調査研究を実施した。 平成24年度の研究で明らかになった日本の看護教育におけるSP活用の現状および特徴・課題と過去12年間(1999年~2010年)の文献レビューから示唆されたSP参加型教育方法の特徴に加え、最近(2011年~2013年)の類似研究の結果も検討し、平成25年度は、SPが看護学生に与える影響について詳細に調査・分析を行った。 SPが学生に与える肯定的な側面のみにとどまらず、場合によっては否定的にも影響しうる側面の両面を考慮した調査を実施することにより得られた結果は今度の教育プログラムの内容を検討するための貴重な資料となりうると考える。 調査対象は本学学生に限られたが、得られた結果は、SPの教育効果の因果関係を詳細に示唆するデータであり、SPを活用した教育内容を検討するうえで信憑性が高いと考える。 以上から、概ね順調に研究が進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、下記のとおりSPを活用した教育プログラムの作成・実施・評価を行う。 1.教育プログラムの作成は、下記の資料をもとに遠藤が原案を作成し、その後、研究分担者:澁谷とともに検討する。1)平成24年度調査「模擬患者を活用した看護教育に関する実態調査」結果、2)平成25年度調査「模擬患者を活用した教育が看護学生に与える影響」結果、3)1999年~2013年の文献レビュー結果、4)平成25年度SPを活用した教育プログラム草案。 2.教育プログラムの実施は、遠藤の担当授業における基礎看護技術演習にて行う。平成26年度は、カリキュラムの変更に伴い2学年(前期:2年生、後期:1年生)にわたり実施する。 3.教育プログラム評価は、平成25年調査「模擬患者を活用した教育が看護学生に与える影響」結果および過去の文献レビュー結果などを参考にし質問項目を検討し、質問紙調査を実施する。質問紙調査に関しては、調査対象者へ研究目的・方法・個人情報の保護について文書および口頭で説明を行い、同意を得た上で実施する。得られた研究成果については、平成27年度開催の看護系学会にて発表する。 なお、平成25年度の成果については、雑誌論文投稿のため現在執筆中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.平成25年度に実施した調査研究は、調査対象が本学学生に限られたため、研究協力の謝礼などの未執行が生じた。 2.平成26年度も教育プログラムの途中評価として、継続した調査研究を実施する予定であるが、調査対象が2学年にわたることになったため、調査に関する経費が平成25年度以上に必要であり、平成25年度の未執行額を割り当てる予定である。 以上の理由から、約56万円を平成26年度へ繰り越すこととなった。 平成26年度もSPを活用した教育プログラム構築のため、継続した調査研究を予定している。これに伴う、調査票作成、データ処理、謝礼(謝品)の支出が見込まれる。また、教育プログラムの作成にあたっては、継続した文献検討、看護系学会への参加、教育実践に伴う物品購入なども増える見込みである。さらには、平成26年度は最終年度であり、調査協力者への研究成果報告を予定しており、これに関する支出が見込まれる。 上記をふまえ、予算内執行をしていく。
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