平成26年度の研究成果を拡張し,研究協力病院8施設中4施設から,平成26年度1ヶ月分のデータ提供を受け,病棟の看護職配置数に係る要素の同定をはかった.提供されたデータは,平成26年度診療報酬改定を受け病棟再編,病床機能見直しの結果を反映したものである.これまでに同定された緊急入院患者数,高齢患者数,及び看護職の看護実践能力という要素に,退院調整患者数(退院支援計画書作成数)を加えた.退院調整患者数は延入院患者数に対し1~2%の割合であるが,看護部マネジャーのインタビューでは,退院調整に係る機会と,手のかかるケースが増えたと述べている.退院調整患者数(手のかかる程度=2.0)を加えた拡張型患者タイプ対応算定看護師数を計算した. その結果を実際配置数,看護実践能力に基づく実効配置数と比較・検討した.その結果,退院調整患者数の割合に応じ拡張型患者タイプ対応算定看護師数が増加し,実際配置数及び実効配置数より上回った病棟がほとんどであった.このことは,患者ケアの質的側面において,実際の配置数では手が足りない状況を示した. これまでに検討してきたさまざまな評価法による病棟看護師配置数を算出し,汎用ソフトであるExcel上でVBA(Visual Basic Application)を用いてグラフ化し比較する実装システムを構築した.このシステムを各施設の看護マネジャーに提示した後のインタビューでは,複雑な計算を必要とするさまざまな評価法に基づく配置数が比較できることは,マネジャーの業務の効率性の向上と現状を容易に把握できるシステムであると述べている.また,アプリケーションの追加が不要で,容易な操作性により,各病棟のミドルマネジャーが自病棟の現状,他病棟の状況を比較するためにも活用が期待できると述べている. これら4年間の研究の経過と成果をまとめ,研究協力施設の看護マネジャーに報告した.
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