本研究の目的は、「一人前」看護師の技能レベルにある卒後3~4年目看護師のリーダーシップ能力の特徴と課題を明らかにし、ポジティブ・アプローチを用いたリーダーシップ能力を育成する研修プログラムの構築を検討することでる。 1.新人期から中堅期に移行する期間の看護師のリーダーシップに関する特徴および、集合研修で実施される内容に関する現状を踏まえた知見の整理を行った上で、ポジティブ・アプローチの手法を取り入れた研修を計画・実施した。最終年度には、研修を実施したことの評価を行った。研修を受けた看護師に実施したアンケート調査では、研修後にはリーダーシップに関する知識が高値となり、自己の目標や課題を見出すことにつながり、意欲も上昇していることがわかった。しかし、研修では、実際の心配ごとの解決にはつながらないため、研修後のOJTのつなぎが重要であることが示唆された。 2.研究者がリーダーシップ研修を担当しているA県内の1施設で、前年度にリーダシップ研修を終了し、卒後5年目を迎える看護師を対象にインタビュー調査を実施した。調査は日本赤十字広島看護大学研究・倫理委員会の承認を得て実施した(審査番号1115)。「一人前」看護師がリーダーシップを発揮できるようになるまでのプロセスについて分析し、<リーダーシップ能力発揮がうまくいかない状況><リーダーシップへの気づきと行動の変化><リーダーシップ能力育成を促進する基盤><リーダーシップ能力育成を支援する環境>の4つの側面を見出した。 3.200床以上の3つの一般総合病院に所属する卒後3~4年目の看護師10名にインタビュー調査を実施した。調査は日本赤十字広島看護大学研究・倫理委員会の承認を得て実施した(審査番号1221)。この調査結果を踏まえて、リーダーシップ能力育成の促進状況に関する項目の整備を行った。
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