研究課題/領域番号 |
24593274
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研究機関 | 日本赤十字広島看護大学 |
研究代表者 |
迫田 綾子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 客員教授 (70341237)
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研究分担者 |
原田 裕子 (小野 裕子) 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 助教 (20446066)
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キーワード | 誤嚥 / 摂食・嚥下障害 / 食事支援 / ポジショニング / 教育 / 汎用化 |
研究概要 |
本研究の目的は、摂食・嚥下障害のある人々に対し、看護師による誤嚥予防のための食事時の適切なポジショニングの教育スキームを構築し汎用化することである。本研究は2年目であり、研究計画に添って以下を実施した。 1)誤嚥予防のための食事時のポジショニング教育スキームの作成:方法は、前年実施した摂食・嚥下障害認定看護師へのフォーカスグループインタビューデータを質的分析及び文献を元に作成した。ポジショニングは技術教育のため、体験的教育やコアナースからスタッフナースへと少人数体制が有効であることが示唆された。◎施設で積極的に活用していただくため当プログラムは、「ポジショニングで食べる喜びを伝えるプログラム」→POTT(ぽっとプログラム)と命名した。 2)教育スキームの汎用化に関する研究活動の進展は、ポジショニングプログラム実施方法を考案し研究者及び摂食・嚥下障害認定看護師が複数で指導する体制を整えた。研究協力者は、中四国地方の摂食・嚥下障害認定看護師とし文書で協力を依頼した。その結果広島県、島根県の8施設の協力が得られた。 3)教育媒体の作成は、①教育プログラムのパワーポイント資料、②誤嚥を防ぐ食事時のポジショニング冊子、③ICT情報提供の仕組み作り(作成中)である。4)研究協力者への教育スキーム紹介、技術教育実施、施設汎用化の協力依頼し、平成26年1月、2月の2回実施した。5)国内外の看護技術教育の現状調査は、研究結果の学会発表と兼ねて次年度に実施することとした。6)研究結果を基に、書籍「誤嚥を防ぐ食事時のポジショニング」を出版することができ誤嚥予防ケアが社会に浸透するきっかけになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の研究計画は、前半期には業務優先して進行が困難であったが、後半期には計画を概ね進展することができた。達成できたのは、①初年度の調査のデータ分析からニング教育プログラムスキームの構築、②研究協力者(摂食・嚥下障害認定看護師)へのポジショニング教育研修会を開催、③教育プログラム効果・影響評価をするための調査体制の確立である。研究進行のためには、専門的なポジショニング技術を摂食・嚥下障害認定看護師が習得してきており、研修会は円滑に進行している。海外へのポジショニング教育の情報収集は、今年度も業務との調整が出来ず次年度へ学会への成果発表も兼ねて実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
誤嚥を予防するための食事時のポジショニングスキームの汎用化を目指して、研究協力者の所属する8施設で教育プログラムを基にプログラム実施、及び効果及び影響評価の調査を行う。ポジショニング技術が定着するため、コアナース、スタッフナースへと広げ、汎用化をめざす。教育スキームをより進化させるため、データの共有や情報発信をして技術力の向上を図る。調査結果は、教育スキームの再構築を行い、国内外の学会で公表しながら、より実践的な誤嚥予防ケアの汎用化を目指す。3年間の研究成果をまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
第一の理由は、ポジショニング教育に関する海外への情報収集が業務調整が困難で実施できていないことである。第二は専門的知識の提供の講師を近隣の人に依頼し交通費が縮小したこと、第三はデータ収集が後半期となり資料整理の人件費が縮小したこと、その他として会議費や物品購入が僅かであった。 次年度は、最終年度であり予定の計画実施に加え、2年目までにできなかった国内外の学会で交流会や成果発表等をする予定である。またポジショニング教育スキーム研修の開催を継続するため、研究協力者への謝礼、データ収集や整理、成果印刷物作成等のために支出を見込んでいる。また総括年であり、図書や文献も活用し看護の視点から誤嚥を予防するポジショニングスキームを再構築し、社会に還元していく。
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