研究課題/領域番号 |
24593277
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研究機関 | 聖マリア学院大学 |
研究代表者 |
秦野 環 聖マリア学院大学, 看護学部, 准教授 (00352352)
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研究分担者 |
文珠 紀久野 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (70191070)
宮林 郁子 福岡大学, 医学部, 教授 (40294334)
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キーワード | 難民 / 国内避難民 / 国内の治安 |
研究概要 |
研究初年度に引き続き、調査対象地域における現地調査実施の可能性を探ってきた。しかし、研究対象地域であるケニア共和国における治安の悪化、一般市民を巻き込んでの爆発事件など予測不能な事態が発生していたことから、現地赤十字社や国際非政府団体などと連絡をとり相談してきたが、不測の事態発生の可能性が大きいとの助言を受け、今年度中における現地調査は控えることとした。 過去2年間のケニア共和国内、特に研究調査対象地域であるケニア共和国と隣国ソマリアとの国境周辺や隣接の州における状況等から、当該調査対象地域における研究実施可能性が低いと考えるに至っている。理由は、ケニア国内の治安が流動的であり、現地に研究拠点を持たず、訪問により現地調査を行う研究者にとっては非常に困難な事態になってきていること、本研究の主旨から隣国や周辺国との関係性が重要でありケニア国内の事情だけでは治安・情勢の判断がつかず、調査の実施が困難であることである。 上記2点を踏まえて今年度後半から、ケニア共和国に類似の問題を持ち、かつ英語圏における研究対象国の選出を始め、研究調査対象地域の拡大を試みている。研究調査地域の候補としてザンビアとネパールを選出した。ザンビアはケニアと同じアフリカ大陸の国であり、政治的には安定しているものの周辺国からの難民を長期にわたって受け入れている国家である。ネパールは、1996年以降の共産主義勢力の台頭により国内ほぼ全土において暴動が発生し、長きに渡って続いてきた王政が倒れ、その国内暴動時に多くの国内避難民が発生、多くの地域において受け入れるという事態が発生した。加えて、長期にわたり隣国からの難民を受け入れている国家でもある。 平成26年度は、上記2カ国において現地調査を実施したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上記研究実績に記載したとおり、予定していた研究調査対象地域の訪問ができていない状況である。現地訪問による調査が非常に重要な研究であり、かつ研究者の訪問が難民・避難民・受け入れ地域の人々にもたらす影響が非常に大きいことが予測される。そのために、訪問しての調査実施可能性を辛抱強く検討を重ねてきたが、今年度は訪問実施には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究実績記載部分と重複するが、ケニア共和国において現地に研究拠点を持たない訪問者による現地調査の実施は、非常に困難な現状であることを受け入れざる得ないと判断した。 研究の、より実行可能性が高いと考えられる代替案として、研究の調査対象地域の拡大を視野にいれ準備を開始している。追加対象地域としては、ケニア共和国と同じく開発途上国であり、住民が持つ資源に限りがある土地・国における難民・避難民の受け入れ地域における女性の健康状態を調査する方向に進めることとする。 研究対象地域としては、ザンビアとネパールを選出した。ザンビアはケニアと同じアフリカ大陸の国であり、政治的には安定しているものの周辺国からの難民を長期にわたって受け入れている国家である。ネパールは、1996年以降の共産主義勢力の台頭により国内にほぼ全土において暴動が発生し、長きに渡って続いてきた王政が倒れ、その困難時に多くの国内避難民が発生、多くの地域において避難民を受け入れるという事態が発生した。加えて、長期にわたり隣国からの難民を受け入れている国家でもある。これらのことから、ケニア共和国における研究継続の可能性を検討しつつ、平成26年度には研究調査地域をまず拡大し、当該研究の目的である女性の健康問題を概観できるように進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年に引き続き研究調査対象地域(国)の状況が安定せず、一時期、一層悪化したこともあり、研究のまず第一段階である調査対象地域への訪問を差し控えたために、計上していた予算を活用することができなかった。国内における研究調査地域の情報収集や文献検索等の国内における研究活動は所属機関のインターネットシステムの活用が可能であり、実質の予算活用は非常に小額となった。 研究調査対象地域であるケニア共和国とその隣国であるソマリアの状況を辛抱強く観察してきたが、この地域だけに限定した場合には、今後、研究期間内に当初の目的を達成することが非常に困難であることが想定されるために、平成26年度から、当該研究地域に新たな国・地域を加えて拡大し、当初の目的達成に向けて現地調査地域を訪問し、当該研究対象のかたがたへの面接・インタビューを実施することとする。訪問予定国は、ザンビア、ネパールを予定しており、ザンビアは政府の承認を受けている。ネパールにおいても、研究協力機関となりうるネパール赤十字社と当該研究に対する協力体制について話し合いは進展中である。
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