研究課題/領域番号 |
24593277
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研究機関 | 聖マリア学院大学 |
研究代表者 |
秦野 環 聖マリア学院大学, 看護学部, 准教授 (00352352)
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研究分担者 |
文珠 紀久野 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (70191070)
宮林 郁子 福岡大学, 医学部, 教授 (40294334)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 難民 / ホストコミュニティー |
研究実績の概要 |
科学研究費助成事業採択後、研究調査地域であるケニアへの渡航調整を複数年にわたり行ってきたが、隣国ソマリアとの治安問題やケニア国内のテロ事件などで状況の改善は見られず、最終的にケニア国内、特に隣国ソマリアからの難民うけ入れ地域でのホストコミュニティー(ケニア国民)の状況を観察することは非情に困難であると判断し、ケニア国内での研究を断念した。ただ、東アフリカ地域においては、多くの国々が近隣諸国からの難民の受け入れを行っており、気候や開発途上国である状況など類似の点も多い。そこで、日本学術振興会に照会をおこない、「研究の本来の目的が同じであれば調査地変更はやむをえない」との回答を受け、ウガンダで調査を実施した。 現地調査は、平成27年2月25日から平成27年3月9日に、ウガンダ政府難民局の許可を得てウガンダ北西部のKIRYAMDONGO REFUGEE SETTLEMENTで実施した。訪問時の滞在難民数は38,077人であった(2015年2月27日現在)。副指揮官と難民リーダーのひとりとの調整後、15名の難民と二つのNGO担当官との面接を行った。 結果、本研究はホストコミュニティーに着目し、難民を受け入れたことによる健康への影響に着目するのが本来の目的であったが、今回の調査地において「受け入れ地とその人々(ホストコミュニティー)」をあらためて考え直す機会に恵まれた。難民キャンプ地として長く、歴史あるキャンプ(滞在地)においては、旧流入組(長期滞在者)と新参者の間での軋轢が生じており、特に南スーダンからの難民に関しては、新参者が過去の紛争の敵対者であり、その人々の流入により生活が圧迫されることとなった長期滞在者は強い疲弊感を抱いている。ホストコミュニティーの状況を考えていく上では、受入国と難民だけでなく、新規流入者を受け入れた難民(長期滞在者)の状況を考えていく必要性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上記、「研究実績の概要」に記載したとおり、研究対象国の治安問題で研究開始が大幅に遅れ、研究期間の最終年度の開始となってしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度中に再度調査対象地域を訪問し、当該難民キャンプで長期滞在となっている難民に再度面接を行い、心身の健康状況を査定する。加えて、難民キャンプ地内にある医療機関や関連NGOから、長期滞在者の健康被害の状況に関し情報を収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究調査対象地域の治安が不安定、その後の悪化により当該研究の調査開始が遅れたために、研究期間を1年延長することを平成27年3月20日に承認された。よって当初の研究終了年度である平成26年度末ではあるが繰越として次年度使用額が発生している。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に訪問したウガンダの難民キャンプ地を再訪問し、難民キャンプで長期滞在し、新規難民流入により、その生活を圧迫されていると感じている難民の健康に対する聞き取り調査を行う予定。訪問は、11月中旬を予定している。
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