研究実績の概要 |
看護職の精神的健康に影響を及ぼす要因として、対人援助職における二次的ストレスとしての共感疲労がある。共感疲労は苦しんでいる人を援助することや援助したいと思うことから生じる。そこで看護基礎教育の段階から、共感疲労のメカニズムを理解し、メンタルヘルスにおけるセルフケアの知識・技術を習得することが職業人として成長していくために有効であると考える。本研究では看護学生を対象とした共感疲労に関するストレスマネジメント教育プログラムの開発を目的とした。 看護学生77名に対し2013年7月にストレスマネジメント教育プログラムを実施した。プログラムは,①ストレス反応のメカニズムの知識②看護職特有のストレス,共感疲労についての知識③セルフマネジメントのための認知を変えるトレーニング④仲間同士で支え合うには⑤リラクセーションの講義・演習を60分程度で実施した。同じ対象に半年後1月に第1回の内容の復習であるフォローアップの教育プログラムを実施した。第1回前後,第2回終了後に質問紙調査を実施した。研修前に看護場面でのストレス状況及び13項目の共感疲労尺度について「1全くない」から「5よくある」の5段階でたずねた。研修終了後は研修内容の理解度について「1全く思わない」から「5とてもそう思う」の5段階でたずねた。 結果は,看護場面におけるストレス状況はストレスを感じている学生が多かった。共感疲労尺度では中程度であった。プログラム内容で研修会終了後の調査結果では,仲間同士で助け合うことについてが高い得点であった。フォローアップ研修会後の調査結果でも同様であった。看護学生はストレスを感じている者が多く,共感疲労においても平均値は低くはない。ストレスマネジメント教育プログラムにおいて知識や技術を提供することはのぞましいといえる。今回のプログラムにおいて仲間同士で支え合うことについて印象づけられた。
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