研究課題/領域番号 |
24593283
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 公益財団法人田附興風会 |
研究代表者 |
紙野 雪香(今井雪香) 公益財団法人田附興風会, 医学研究所第10研究部, 研究員 (10294240)
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研究分担者 |
森岡 正芳 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (60166387)
福田 敦子 神戸大学, 保健学研究科, 講師 (80294239)
大野 由美子 大阪大学, 医学部附属病院, 専門看護師 (40626561)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 中堅看護師 / キャリア形成 / ナラティヴ / 看護教育 |
研究概要 |
本研究は、中堅看護師(現場の実務リーダーを担い、管理職に従事していない看護師)のキャリア形成プログラムの開発を行う介入研究であり、次の2点を目的とする。 1.ナラティヴ・アプローチによる中堅看護師のキャリア形成の具体的な内容と指針を明らかにする。 2.ナラティヴ・アプローチによる中堅看護師のキャリア形成プログラムの成果と限界を明らかにする。 ここでいう中堅看護師のキャリア形成の指針は、“私の看護実践”に意味が生まれそれを重視することと、“私らしい看護実践像”の言語化により主体感覚を持って未来を志向することである。 これらの目的を達成するために、平成24年度は、まず第1段階【キャリア形成プログラムの枠組みの検討】を実施した。本研究の前段階の試行的介入研究にあたる「ナラティヴアプローチによる中堅看護師への教育的支援に関する研究」(平成22~23年度研究活動スタート支援、課題番号22890235、代表者 紙野雪香)で得た成果をもとに枠組みを作成した。前段階研究で考案したプログラムの目的・目標および評価方法について、キャリア形成の要素をより明確になるよう修正した。内容は、<ステップ1>ナラティヴに関する理論的背景を知る、<ステップ2>“私の実践”とナラティヴ・アプローチの接点について考える、<ステップ3>“私の実践”を活写することへの挑戦、<ステップ4>“私の実践”を伝えるということについて考える、とした。 第1段階の検討結果から作成したプログラムをもとに、第2段階【フィールドにおけるプログラムの実施と分析】に着手した。A病院において中堅看護師を対象とした施設内研修という位置づけで本プログラムの参加者を募り、5名の看護師が参加した。月に1回・全10回のプログラムを実施した。平成25年度は、引き続き第2段階(内容の分析)と第3段階を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、次の2点を目的とする。 1.ナラティヴ・アプローチによる中堅看護師のキャリア形成の具体的な内容と指針を明らかにする。 2.ナラティヴ・アプローチによる中堅看護師のキャリア形成プログラムの成果と限界を明らかにする。 この目的を達成するために、平成24~26年度の間に、第1段階【キャリア形成プログラムの枠組みの検討】、第2段階【フィールドにおけるプログラムの実施と分析】、第3段階【プログラムの公表と応用可能性の検証】、第4段階【キャリア形成プログラムの内容および指針についてまとめる】の手順を踏む。 現在までに、第1段階【キャリア形成プログラムの枠組みの検討】および第2段階【フィールドにおけるプログラムの実施と分析】のフィールドにおけるプログラムの実施までをすでにおえている。また、第3段階【プログラムの公表と応用可能性の検証】では、臨床現場密着型の「出張シンポジウム」での公表を計画しているが、「出張シンポジウム」を開催する病院も決定している。 平成25年度は、第2段階【フィールドにおけるプログラムの実施と分析】の分析、第3段階【プログラムの公表と応用可能性の検証】に着手していく。以上のことから、当初の計画通り、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度前半は、引き続き、第2段階【フィールドにおけるプログラムの実施と分析】に取り組む。平成24年度にプログラムは実施しており、平成25年度はその結果の分析を行う。 分析は、研究分担者とともに学際的協力によって遂行する。森岡正芳氏(臨床心理学者)は、ナラティヴ・アプローチの堅実な理論的背景による精度の高い分析を行う。福田敦子氏(臨床看護学者)は、ナラティヴ・アプローチの看護学上の意義に関する視点からの分析を行う。臨床現場を熟知している大野由美子氏(専門看護師)は、ナラティヴ・アプローチの看護実践上の意義に関する視点からの分析を担う。 そして、平成25年度後半からは、第3段階【プログラムの公表と応用可能性の検証】に着手していく。関連学会での学会発表や投稿に加えて、特に本研究では、国内の臨床現場で「出張シンポジウム」を開催することをその特徴とする。これは、実践家とその現場を切り離さないことに深い意義がある。切り離さないことによって、参加者は本研究の成果をより身近に実践的にとらえることができると考える。研究者にとっては、研究成果に対する実践現場からの生の反応を得ることで、より実践的なプログラムへと修正できる。 具体的には、研究期間中に国内4か所(東北、関東甲信越、中四国、九州)で開催を予定しており、平成25年度は九州地区(長崎)での開催を計画している。「出張シンポジウム」では、本研究代表者と分担者に加えて、ナラティヴ論および看護教育に関する専門家(大学教授および同等クラスの実践家など)とともに議論を展開する。その議論の内容も含めて、プログラムの応用可能性を検討し、必要に応じて修正を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、分析に伴う研究分担者会議の交通費、分析を深めるための資料収集旅費および資料代金、「出張シンポジウム」の旅費・講師謝金、出張シンポジウム」準備のためのアルバイト謝金を主な出費とする。 研究代表者の所属先変更なども関連し、平成24年度に予定していた研究成果公表のためのホームページの開設が遅れている。そのため、研究費に未使用額が生じている。平成25年度に繰り越すことで、ホームページの開設費用として活用していく予定である。
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