研究課題/領域番号 |
24593288
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
村角 直子 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (30303283)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | レジリエンス / 2型糖尿病 |
研究実績の概要 |
本研究は、成人2型糖尿病患者の糖尿病教育におけるレジリエンス評価尺度を作成することである。糖尿病は慢性疾患であり、長期にわたる療養生活の中で日々生じる困難な状況や負担が生じやすい。これらの困難や負担に対してネガティヴな影響を最小限にとどめ、柔軟に対応していく力、つまりレジリエンスが不可欠である。 平成25年に162名の外来通院糖尿病患者に基準関連妥当性検討のためレジリエンス尺度(原案)とストレス対処能力(SOC)および一般性自己効力尺度(GSES)の調査を行った。レジリエンス尺度の因子分析を行った結果、6因子27項目となった。因子は「信頼して療養を任せることができる身近な人を感ずる」「糖尿病コントロールのための有効な学習への自負」「運動している」「日々の療養に努力している誇らしさ」「よくない状態にとどまらない構え」「大事な足をきれいに保っている」と命名した。レジリエンス尺度(27項目)のクロンバックα係数は0.898と高い内的整合性が得られた。レジリエンス尺度(27項目)とSOCとGSESは有意な正の相関(r=0.420,p<0.01)(r=0.245,p<0.01)を示し、基準関連妥当性が得られた。一方、レジリエンス尺度(27項目)とHbA1c値は有意な相関は示されなかった。 本年度は、今後は得られたデータより構成概念を用いたモデルの適合度を調べるため、成人2型糖尿病患者の療養に伴うレジリエンス評価尺度27項目の共分散構造分析を行い、妥当性の検討を行う。成人2型糖尿病患者の療養に伴うレジリエンス評価尺度27項目の交差妥当性の検討(教育入院の有無、外来・入院患者の別)および再テスト法を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的は成人2型糖尿病患者の糖尿病教育におけるレジリエンス評価尺度の作成と糖尿病教育プログラムへの応用である。現在、成人2型糖尿病患者のレジリエンス評価尺度作成は以下の第2段階まで達成された。 ≪第1段階≫ 糖尿病教育入院を経験した患者をアセスメント面接の内容をまとめたシートを基に糖尿病患者のレジリエンス評価尺度試案の作成を行った。レジリエンス尺度試案は77項目からなり、糖尿病看護を専門に行っている看護師12名(日本糖尿病療養指導士、糖尿病看護認定看護師)に内容妥当性を確認し、表現の修正および妥当性が得られなかった項目の削除の結果、成人2型糖尿病患者の療養に伴うレジリエンス尺度原案は65項目となった。 ≪第2段階≫ 成人2型糖尿病患者の療養に伴うレジリエンス尺度原案(65項目)を162名の外来通院糖尿病患者を対象に調査を行った。合わせて、基準関連妥当性のためのストレス対処能力(SOC)と一般性自己効力尺度(GSES)を行った。レジリエンス尺度を因子分析した結果、27項目6因子が得られ、尺度の信頼性、妥当性が確認された。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果で得られた成人2型糖尿病患者の療養に伴うレジリエンス尺度(27項目)を用い、交差妥当性の検討(教育入院の有無、外来・入院患者の別)および再テスト法を行う。レジリエンスの概念を取り入れた糖尿病教育プログラムを検討および臨床現場への適応をはかる。
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次年度使用額が生じた理由 |
レジリエンス評価尺度27項目の交差妥当性の検討および再テスト法のための調査をしておらず、調査のための印刷費、調査旅費および通信費を使用していなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、交差妥当性の検討(教育入院の有無、外来・入院患者の別)および再テスト法を行う。糖尿病教育を行っている診療施設に赴き、調査を行うため調査旅費が必要である。また、研究成果発表および研究資料収集のため、旅費が必要である。調査の資料整理のため人件費を要する。研究の推進および調査を円滑にすすめるため会議を開催するための会議費、各施設との通信費、レジリエンス尺度の資料印刷のための印刷費が必要である。
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