研究実績の概要 |
本研究の目的は成人2型糖尿病患者の糖尿病教育におけるレジリエンス評価尺度を作成することである。糖尿病は慢性疾患であり、長期にわたる療養生活の中で日々生じる困難な状況に対してネガティブな影響を最小限にとどめ、柔軟に対応していく力、つまりレジリエンスが不可欠である。 平成25年度に162名の外来通院糖尿病患者にレジリエンス尺度(原案)65項目および基準関連妥当性の検討のためストレス対処能力(SOC-13)および一般性自己効力尺度(GSES)の調査を行った。レジリエンス尺度の因子分析を行った結果、6因子27項目となった。因子は「信頼して療養を任せることができる身近な人を感ずる」、「糖尿病コントロールのために有効な学習していることへの自負」、「運動している」、「日々の療養に努力している誇らしさ」、「良くない状況にとどまらない構え」、「大事な足をきれいに保っている」と命名した。 平成27年度は、成人2型糖尿病患者における療養に伴うレジリエンス尺度の27項目が、6因子構造となることを確かめるために、Amos22.0を用いた確認的因子分析を行った。6つの因子からそれぞれ該当する項目が影響を受け、すべての因子間に共分散を仮定したモデルで分析を行ったところ、適合度指標はχ2乗=487.513、 df= 309 、p<.001, GFI= .824 、AGFI= .785 、RMSEA=.060、AIC=654.566であった。また、弁別妥当性の検討のため療養に伴うレジリエンス尺度の27項目合計得点において「教育入院経験あり」(111名)と「教育入院経験なし」(51名)の2群に分類して分析した。結果、「教育入院経験あり」は「教育経験なし」に対してRS(27項目)合計得点が有意に高かった(t=-2.584, p<0.05)。
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