研究課題/領域番号 |
24593289
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
古屋 洋子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 講師 (80310514)
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研究分担者 |
中村 美知子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 医学研究員 (80227941)
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キーワード | 胃切除術後患者 / 食事摂取状態 / 回復状態 |
研究概要 |
胃切除術後は,術後早期から,体たんぱくや体脂肪量の著明な減少が生じやすく,術式や再建法による代謝的変化や消化吸収に関係する病態が報告されている。術後は特に,脂肪の吸収障害が著明であり,周手術期におけるn-3系多価不飽和脂肪酸(以下,n-3PUFA)投与による栄養摂取の重要性が示唆されている。そこで,平成25年度は,得られたデータの一部から,周手術期の胃切除術後患者(全摘群,部分切除群)の脂肪摂取量と血中脂質濃度の変化について検討した。その結果,胃全摘群は,術前からn-3・n-6 PUFAの摂取が少なく,中でもn-3PUFA摂取量は,術後1週目・2週目共に有意に低下した。また,たんぱく質および脂肪酸摂取量は,術後1週目の低下は顕著であったが,2週目以降は徐々に回復の兆しがみられた。胃全摘術後患者の健康状態回復には,術後早期にたんぱく質,脂質(n-3PUFA)摂取量を増加するための摂取方法の検討が課題であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年4月末までに,腹腔鏡補助下胃切除術13名,幽門側胃切除術12名,胃全摘術患者11名の協力を得て,データ収集を終了した。現在,得られたデータの入力・分析をすすめている。昨年度は,前述の結果を国内誌1報,国内学会・国際学会および国内交流集会にて3回発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,術式(残胃容量や術後侵襲の程度)に応じた栄養摂取のまとめと分析をすすめ,臨床看護師による回復状態に適った効果的な食事指導指針づくりのための経時的な食事摂取状態と身体の回復状態の関連性について検討する。本調査によって得られた成果は,論文としてまとめ,日本看護科学学会,日本臨床栄養学会等への発表,投稿を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度,術式(残胃容量や術後侵襲の程度)に応じた栄養摂取を検討するため対象者のリクルートを追加した。データ収集は完遂したが,新たに得られたデータ,特に退院後の追跡データ分の入力・分析を現在進めている状況にある。 現在,得られたデータの詳細な分析・検討をすすめるための統計解析ソフトIBM SPSS Statisticsが必要である。次年度使用額は,ソフト購入および研究分担者との分析結果の検討,成果の発表に充てる予定である。
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