研究実績の概要 |
周手術期における脂肪酸,特にn-3系脂肪酸,EPA摂取は,炎症性サイトカインや蛋白質分解誘導因子(PIF)の産生抑制,体重の安定化に関与することが報告されている。そこで,平成26年度は,得られたデータの一部から,胃切除術後患者(胃全摘術(TG),胃部分切除術(PG)、腹腔鏡下胃部分切除術(LPG))の手術前,退院時と退院後のn-3系多価不飽和脂肪酸(以下,n-3PUFA)と血中脂肪酸濃度の術後の変化とその関係について検討した。その結果,TG群のBMIは,手術前より退院時に有意に低下し,退院後も低値であった。TG群のn-3系脂肪酸,EPA摂取量は術前より退院時に有意に低下し,退院後は増加した。PG群,LPG群も同様の結果であった。TG群の術後の血清EPAは,術前より有意に低かったが,他の2群は有意な変化はなかった。TG群の退院時n-3系脂肪酸,EPA摂取と血中HDL-Cには有意な正相関があった。TG群のBMIは術後有意に低下し,退院後も上昇しなかった。TG群のn-3PUFA,EPA,DHA摂取量は退院後徐々に増加したが,血清EPAは退院時有意に低下し,退院後も低値であった。TG群のEPA摂取量と血清HDL-Cに有意相関があったことから,n-3PUFA,特にEPA摂取量の増加が課題であることが示唆された。以上の結果を国内学会・国際学会にて発表した。
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