研究課題/領域番号 |
24593293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
師岡 友紀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40379269)
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研究分担者 |
梅下 浩司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60252649)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生体肝移植 / 生体ドナー / QOL / レシピエント / 家族看護 |
研究概要 |
本研究は、生体肝移植のレシピエント、ドナー、家族、それぞれの立場における、生体肝移植や医療的支援に対する思いを把握し、互いの立場や関係性による問題を捉え、近親者で行われる生体移植特有のニーズを捉えることを目的としている。 H24年度は主として研究テーマに関わる文献検索および情報収集を行うとともに、研究環境の整備を行った。文献検討は、レシピエントのQOLに関わる国内外の研究の動向を把握するとともに、移植関連学会およびQOL関連学会に参加し最新の知見を得た。加えて研究環境整備として、データ分析に必要となる統計ソフトおよびテキストマイニング用のソフトを入手し、それらを用いた研究計画を立案した。現在、研究体制を整えている段階にあり、H25年度始めに倫理審査の申請を行う予定である。 また、生体肝移植ドナーの抱える問題と支援に対するニーズを把握するため過去の調査にて未検討のデータ分析を行った。生体肝移植ドナーの「移植手術に対する思い」に関する自由記述の分析の結果、ドナーの精神的ストレスの詳細が整理され、孤独感、不満、いらだち、不安、落ち込みなどの要素とその要因が明らかになった。ドナーは、レシピエントの回復に大きな喜びを感じる一方、生体肝移植の課題に気づいていた。また、ドナーは、手術前後、気持ちの内を話せる他者の存在を必要としていた。関係性が影響するレシピエントや家族に関わる課題としては、レシピエントの体調に一喜一憂するとともに、苦痛を与えてしまったことに負い目を感じている状況が察せられた。研究結果に関しては、H25年度の移植関連学会で発表予定である。 広報的には、学内の広報誌に生体肝移植ドナーのQOLに関する研究について執筆し、研究の重要性を訴えるべく情報発信を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予測されていたように研究体制整備に時間がかかり、倫理審査委員会の承認を得られていない段階である。そのため、予備調査となる面接調査を開始できていない。 ただし、遅れの影響を軽減するため、過去の調査データの分析を既に開始しており、そこから有用な知見が得られている。もともと予定していた調査を縮小できるため、今後、研究計画を再調整し、予備調査の早期実施を試みる。
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今後の研究の推進方策 |
倫理審査委員会の承認後、すみやかに予備調査を開始する。 なお、当初、予備調査において、生体肝移植レシピエント、ドナー、家族の面接予定をすべて含めて計画していたが、過去のデータの分析からドナーの抱える課題と支援のニーズに関して一定の成果が得られているため、今後はレシピエントと家族に焦点をあてた調査に変更する。予備調査の対象を限定することで、大規模調査の開始に遅れが生じないよう配慮する。 また、ドナーに関するデータの分析結果は、ピアレビューを受ける機会を得るため、早期の成果発表(学会発表および論文発表)を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
予備調査となる面接調査が開始できていないため、H24年度経費は予定に対して残額を生じているが、今後、調査の開始に伴い、説明文書の作成、ICレコーダーの購入、テープ起しやデータ分析などにおいて利用する予定である。
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