研究課題
本研究の目的は支援者による子育て世代のがん患者と子どもを含めた家族への支援に関する実態と、がん患者と子どもや配偶者を含めた家族への支援に関する実態とニーズを明らかにし、多職種が連携・協働したケアモデルを構築することである。がん診断時から終末期、看取りまでの子育て世代のがん患者と子どもを含めた家族支援の実態を明らかにするために、看護師を対象にアンケート調査を実施した。その結果、看護師は患者とともに配偶者や子どもに対するケアの必要性を認識していた。しかし、実際には化学療法中や終末期の患者および子ども、配偶者に対するケアに難渋している看護師が多かった。特に化学療法中では、患者は倦怠感が強いため子どもに十分関われないこと、配偶者は患者の体調が悪いことによる不安から生じる夫婦関係の悪化、子どもは十分な愛情を注いでもらえない、などの家族関係の介入に多くの看護師が困難に感じていた。終末期では特に子どもへの関わりに困難を感じている看護師が多かった。また、親の病気の説明が必要な子ども年代については、「幼児から」「6歳頃」「小学中学年以上」とばらつきがあった。子育て世代の患者と子どもを含めた家族支援に難渋している事例に対して、事例検討会を開催した。その結果、患者や家族の価値観と看護師の価値観に相違が生じていることが明らかになった。また、子どもに対するケアも必要だと考えていたが、支援方法がわからないなど、手探りで支援していることが明らかとなった。以上のことから、子育て世代のがん患者と子どもを含めた家族支援は化学療法中や終末期に支援するのでは遅く、対応が困難となりやすいため、がん診断時から患者と子どもを含めた家族支援の必要性が示唆された。そこで、診断時から治療期、終末期、看取りの時期別に患者、子ども、配偶者別に支援内容を明らかにした支援フロー図を作成した。
3: やや遅れている
本研究の目的は、支援者による子育て世代のがん患者と子どもを含めた家族支援に関する実態と、子育て世代のがん患者および配偶者・子どものニーズを明らかにすることである。平成25年度はがん診断時から治療期、終末期、看取りの時期別に患者、配偶者、子どものそれぞれの支援内容を網羅したケアモデルの核となる支援フロー図を作成することができた。しかし、実際の事例に活用し、評価することはできなかった。
平成26年度は支援フロー図にそってシームレスな支援を行い、評価しながらケアモデルを構築することである。また、子どもへのケアに難渋している支援者が多いことから、継続して事例検討会や、研修会を開催し、患者や子どもを含めた家族支援の充実を図ることである。
支援者向けに研修会を開催する予定であったが、開催することができなかったためである。平成26年度は3名の分担者を増加し、分担金として一人40,000円の120,000円を配分する。データ入力に伴う人件費38,840円、消耗品成果発表としてのがん看護学会(横浜)や看護科学学会(名古屋)の旅費140,000円である。支援者向けの研修会の講師謝金70,000、報告書作成費50,000円とする