レジリエンスという概念のもつ複雑性・多様性のために当初の計画通りに研究が進んでいなかったため、平成28年度は尺度開発に焦点化した計画のもと研究を進めた。 レジリエンス尺度原案に基づいて、プレテストを行ったうえでがん患者を対象に本調査を実施した。多くの対象者が手術療法を受けた患者で、中には術前の人もいた。化学療法や放射線療法を受けた患者も含まれていた。 レジリエンス尺度原案は、潜在的な能力、意図的な努力、認知する力、変動性という4概念で構成されていた。分析対象者のデータを最尤法による因子分析(プロマックス回転)で行った。項目の選択は、因子負荷量が.40以上を示す項目を採択した。その結果、各項目のまとまりは想定した4概念にはならなかったため、内容の解釈に困難を伴った。そこで、探索的因子分析を実施し、固有値の状況から3因子を想定して 再度因子分析を行い、現時点は内容の解釈段階にある。
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