外来で放射線療法を受けるがん患者(対照群:20名、介入群:19名)を研究対象とし、介入群には、放射線療法開始時にPILテストを実施、その結果を手がかりに研究者と患者で人生観、病気苦悩観、死生観について対話する看護介入を実施し、その効果を明らかにした。評価は、3時点(放射線療法開始時、終了時、終了3ヵ月後)で、Quality of Life Radiation Therapy Instrument日本語版(以下QOL-RTI)、Mental Adjustment to Cancer日本語版(以下、MAC)の質問紙と、放射線療法終了3ヵ月後のインタビューで行なった。さらに、看護介入で得られた患者の全体像を放射線治療部門医療関係者と情報共有した効果を明らかにした。 全対象者では、Helpless/Hopeless(絶望感)の交互作用に有意傾向が認められ(p<.10)、介入群は、放射線療法開始時から経過に伴って絶望感が減少していく傾向がみられた。乳がん患者では、QOLの総得点とQOL心理/精神得点において、交互作用に有意差が認められ(p<.05)、QOLとQOLの精神心理面の改善効果が推察された。患者は、看護介入について、【自己洞察の機会】【病気の自覚】【語ることで楽になる】【目標を意識する機会】【質問内容の意外性】と述べ、自分の内面をみつめることで、今の病気を持つ状況から目標を意識している様子が伺えた。さらに、放射線治療部門医療関係者から【患者理解の促進】【患者対応への利益】といった評価の反面、【患者対応への戸惑い】がみられ、チームアプローチの重要性が示唆された。本看護介入は、外来で放射線療法を受ける患者の病院での滞在時間が短いという現状や、放射線治療部門の看護師の人員が少ない中で、時間的負担が少ない現状に即した精神心理的援助として有効であると考えられた。
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