研究課題/領域番号 |
24593318
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
深田 順子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (60238441)
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研究分担者 |
鎌倉 やよい 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (00177560)
西岡 裕子 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (10405227)
熊澤 友紀 愛知県立大学, 看護学部, 客員共同研究員 (20571730)
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キーワード | 看護学 / 食道がん / 手術療法 / 嚥下障害 / リハビリテーション / セルフコントロール |
研究概要 |
【目的】食道がん患者の術前・術後の摂食嚥下機能、術後3ヶ月間の栄養状態及びQOLを明らかにした。 【方法】平成25年3月から平成26年1月に入院した食道がんで手術予定患者46名に、術前、術後食事開始時及び退院時に嚥下機能に関する身体診査、問診、RSST、MWST等を実施した。患者に術前から術後3ヶ月間、栄養状態の指標として食事前後の体重測定を依頼するとともに、術前、術後1ヶ月、術後3ヶ月にEORTCのQLQ-C30JとQLQ-OES18について調査した。分析対象は、右開胸開腹胸部食道切除術、胃管挙上再建、経胃管的空腸瘻造設術を受け、術後に縫合不全がなく退院までの術後日数が40日未満の36名とした。 【結果】男性31名、平均年齢63.9±7.6歳、食事開始は平均術後11.1日目、入院期間は平均29.5日、空腸瘻抜去は平均術後19.0日目、術後反回神経麻痺合併7名、肺炎4名であった。嚥下機能は、術前後でRSST、MWSTは有意な差はなかったが、最大呼気・吸気持続時間が術後に有意に短縮した。食事開始時には術前と比較して唾液誤嚥、嚥下後誤嚥、咽頭残留、食事以外の咳等が有意に増加した。食事摂取量(n=24)は術後3週では術前摂取量の42.2%、術後13週では75.9%と増加した。体重は術後3週目で術前体重の98.6%、退院後から減少し術後13週では術前体重の88.9%であった。Global QOL scale(n=25)は術前と比較して術後1ヶ月では有意に低下したが、術後3ヶ月では差がなかった。Dysphagia、Eating、reflex等の症状スケールは術前と比較して術後3ヶ月まで有意に低下した。 【考察】入院中は経腸栄養によって体重減少をきたさないが、退院後は嚥下障害によって必要量を経口摂取できず、QOLが低下する。食行動に関するセルフコントロールプログラムの開発が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24・25年度で食行動に関するセルフコントロールプログラム開発前の食道がん患者の術前・術後の摂食嚥下機能及び術後3ヶ月間の栄養状態、QOLを明らかにすることができた。 平成26年7月まで食行動に関するセルフコントロールプログラムを開発し、9月から1年間セルフコントロールプログラムを用いて介入することができれば、平成28年3月までにその効果を術後6ヶ月まで縦断的に明らかにすることができると考える。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成26年7月までに平成24・25年度に実施した基礎調査の結果をふまえて、セルフコントロールプログラムの内容を、文献検討を含めて研究代表者及び研究分担者、研究協力者で検討し作成する。また、研究実施施設の研究倫理委員会で承認を受ける。 このセルフコントロールプログラムの目的は、患者が術後の機能変化を理解し回復状態を評価して、嚥下障害の種類と程度に応じた食事形態、摂取時の姿勢で、食事摂取量と食事回数を退院後に自律的に調整できるように、その判断基準を入院中に学習することである。 2.平成26年9月から平成27年8月までの1年間セルフコントロールプログラムを用いて介入し、その効果を手術前、手術後6ヶ月まで縦断的に嚥下機能、栄養状態、QOLを測定することで明らかにしていく予定である。平成27年8月に介入した患者においても平成28年3月までに効果を確認することができる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者1名が平成25年度に18,340円使用予定であったが、退職により分担することができなくなったことや、各研究者が予定していた旅費より少ない金額で学会などに参加できたことが考えらえる。 平成25年度までの未使用金と平成26年度研究費を合わせて下記の使用を計画している。平成26年度は食道がん術後患者に対して食行動に関するセルフ・コントロールプログラムを開発し、その効果を検証していく予定である。 物品費:パンフレット用の用紙、カラー印刷機のトナー、ファイル等の文具、本等の購入費。旅費:データ収集のための旅費、平成25年までの成果を学会発表したり今後の研究の示唆を得るために国内学会(東京、奈良、横浜等)に参加するための旅費。その他:説明文・同意書・食事摂取量等を記入する用紙の印刷費、学会参加費、文献複写、QOL・食事摂取量等の記録用紙の郵送・返信用の切手に使用する予定である。
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