研究課題/領域番号 |
24593320
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
森 菊子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (70326312)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 看護学 / 感染症 / リハビリテーション |
研究概要 |
本研究は、呼吸器感染による急性増悪を繰り返す慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者に対する呼吸器感染に関する知識、呼吸器感染症状の測定・記録に関する技術、定期的なサポートの提供を含むセルフモニタリング促進プログラムの精練を図ることを目的としている。平成24年度では、平成23年度までに実施した研究結果に基づいてプログラムを検討するとともに、臨床の看護師に実践してもらうための介入マニュアルを作成した。 1.呼吸器感染症状に関するセルフモニタリング促進プログラムの修正 プログラムの課題であった介入期間については、先行研究において急性増悪による再入院までの期間が約5ヶ月であったことや、文献において再入院までの中央値が186日であったり、28%が6ヶ月以内に再入院となっているという結果を踏まえて6ヶ月とすることにした。また、6ヶ月のドロップアウトが約20%であったということや、急性増悪に関連したアウトカムには、季節による差はないという文献の結果も考慮した。患者の行動につながるようなアクションプランを検討することも課題であったが、症状の出現は患者においてさまざまであるため、基本のアクションプランに基づいて、患者の個別性を配慮したアクションプランを外来で完成させていくこととした。 2.呼吸器感染症状に関するセルフモニタリング促進プログラムの介入マニュアルの作成 介入群の協力者の日誌を分析した結果、呼吸器感染症状の観察・測定・記録を通して、体温や痰の量・頻度の「平常」の状態、痰の量・色、咳の頻度、酸素飽和度・息切れ、脈拍、気力、体温の「回復」、咽頭痛、気管の痛み、痰の量・色・粘稠度、咳の頻度の「悪化」に気づいていた。これらの気づきは色々な症状の種類とその程度を総合して判断していることを示していた。具体例を示しながら、患者が感じている症状を認識化し、気づきつなげていけるようにマニュアルを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、呼吸器感染による急性増悪を繰り返すCOPD患者に対する呼吸器感染に関する知識、呼吸器感染症状の測定・記録に関する技術、定期的なサポートの提供を含むセルフモニタリング促進プログラムの精練を図ることを目的としている。平成24年度では、平成23年度までに実施した研究結果に基づいて、プログラムを検討するとともに、現場の看護師に実践してもらうための介入マニュアルを作成し、プログラムの検証を開始することを目標とした。 しかし、プログラムの課題やマニュアルは検討したが、プログラムの効果を検証するにあたり、当初予定していたコントロール群を置くことに対する臨床での難しさが増加している中で、研究デザインを考えるのに時間がかかり、検証に入れていない。それは、COPDの急性増悪の予防を含むセルフマネジメント教育の効果を測定するために、QOL、自己効力感、機能的状態、ヘルスケアの利用、医師への相談頻度、医薬品の使用、入院の頻度と長さ、救急外来の利用などが使用されているが、一貫して望ましい結果を生み出していないため、コントロール群を置かない場合に、プログラムの効果を測定する有効な評価指標が見いだせなかったからである。
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今後の研究の推進方策 |
修正した呼吸器感染症状に関するセルフモニタリング促進プログラムの効果の検証を開始する。効果の検証においては、コントロール群は作成せず、介入群の効果を見ていく。評価指標は、呼吸器感染症状の認知に関するチェックリスト、呼吸器感染症状への行動に関するチェックリスト、慢性疾患患者の健康行動に対するセルフ・エフィカシー測定尺度、呼吸器感染による急性増悪での再入院回数、再入院までの期間、入院期間、急性増悪の回数とする。 呼吸器感染症状を6ヶ月間日誌に記録していくという介入期間を考えた場合、1施設での協力者が得られにくいと考えられること、また施設によるバイアスの影響を除くために5施設位で研究を実施する。介入は介入マニュアルにより臨床の看護師に実践してもらうため、研究協力の同意が得られた場合には、介入についての講習会を開催する。
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次年度の研究費の使用計画 |
修正した呼吸器感染症状に関するセルフモニタリング促進プログラムの効果の検証を開始する予定であったため、旅費、謝金等の使用を考えていたが、効果の検証に入ることができなかったために、残額が生じた。現在では、修正した呼吸器感染症状に関するセルフモニタリング促進プログラムの効果の検証を開始できる状況にきたため、研究依頼、調整のための旅費、謝金などで助成金を使用する。
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