研究課題/領域番号 |
24593321
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
川崎 優子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (30364045)
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研究分担者 |
内布 敦子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (20232861)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | がん看護 / 意思決定支援 / 療養相談 |
研究概要 |
<研究結果>本研究は、オーダーメイド医療におけるリスクコミュニケーションの中で、意思決定サポートが必要となるがん患者を対象に、「療養上の意思決定を支援するWeb版看護支援プログラム」を開発し、効果検証を行うことを目的としている。初年度は、本研究を推進する基盤づくりを行うために、がん看護専門看護師とのネットワークおよび療養上の意思決定を支援するWeb版看護支援プログラムを構築した。実施内容は以下に示す2点である。 1.がん療養相談に携わるがん看護専門看護師を対象に、意思決定支援上の課題および作成したプログラムの実施可能性についてインタビュー調査を行った。結果、意思決定支援上の課題としては、患者が必要とする時期に意思決定支援が行えていない現状、個別的な意思決定支援ができる人材の不足、意思決定支援にまつわる技術と判断基準の不明確さなどが明らかとなった。プログラムの実施可能性としては、患者が活用しやすい情報ツールの洗練、がん医療に関する最新情報が効果的にUp-dateできるWebサイトづくり、意思決定支援を進める判断基準の明確化、技術を洗練するためのしくみづくり、臨床応用に向けた調整事項などが改善点として明らかとなった。 2.これらの結果をもとにWeb版看護支援プログラムを作成し、患者向け、看護師向けに分けてWebサイトに掲載した。 <意義>プログラムの構成として、セルフケア能力の高い患者を対象とすること、看護師が各技術を用いる判断基準を明確化することにより、看護師の教育用ツールとして活用できる可能性がある。 <重要性>がん医療情報が多様化しWeb情報へのアクセシビリティが高まる現状を鑑み、多くのがん患者が自宅からアクセスできるプログラムを開発したことは社会的貢献度が高いといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、初年度はWeb版看護支援プログラムの構築・洗練作業を行い、次年度以降の介入研究に向けた基盤づくりを行うことができた。プログラムの構成は以下に示すとおり、患者向け、看護師向けのコンテンツに分割して掲載した。 1.患者向け:意思決定サポートプログラムについて(プログラム内容、参加方法)、意思決定するための準備(セルフチェック、医療者との関わりを通じて確認すること、自分の価値に出会い点検することの大切さ)、意思決定するための道しるべ(選択肢の比較方法、意思決定の進め方、チェックシート、意思決定に向けた相談スケジュールメモ)、意思決定支援に向けた確認シート、意思決定するために必要ながんに関する情報(胃がん、大腸がん、肺がん、肝臓がん、放射線治療、知っておいた方がいい医療情報、「がん」って一体なに?、がんの病態、がんの疫学)、意思決定するために”こころ”の安定を取り戻す(がんと診断されたときのこころの動き、相談することへの抵抗感、自分の気持ちを知る、自分に起こっていることがわかったら人に話してみる、コミュニケーションの取り方)であり、がん患者のセルフケア能力を生かした意思決定支援を行うためのガイドとなる情報で構成した。 2.看護師向け:共有型意思決定支援ツール(ガイドブック)、リクルート手順、介入手順、相談記録入力、意思決定支援情報紹介(閲覧、登録)、掲示板、メール配信機能であり、研究者と介入者である看護師が双方向性に情報交換できるシステムを構築した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度のWeb版看護支援プログラムの構築においては、患者用の情報ツールおよび看護師用の支援ツールの作成に重点をおいて取り組んできた。平成25年度は、次年度以降の多施設共同介入研究に向けた素地を整備するために、以下の2点について取り組む予定である。 1.患者の意思決定、意思決定プロセスに関する評価指標の検討 2.看護師の介入おける判断基準の作成 平成26年度は、介入研究の実施によりWeb版看護支援プログラムの効果検証を以下の手順で行う予定である。 ①研究デザイン:ランダムに割り付けた実験群と対象群を用いた実験研究。②測定法の選択:SDM用の介入評価尺度としてSDM-Q-9。意思決定プロセス評価尺度(Decision-Making Process Scale)、看護師側は患者への関与度(observing patient involvement:OPTION)。デモグラフィックデータとしては、対象の特性としてがんの治療状況、決定の段階や決定における役割、最終的な決定に関する情報を得る。③介入方法:がん患者で、オーダーメイド医療を受けるために、医療者とのリスクコミュニケーションを行った直後のがん患者を対象に介入を行う。③実験群:研究参加者は、意思決定するために必要な情報をWeb上で閲覧後、ガイドに基づいて意思決定を行う。プログラムへの参加前後には前述した評価尺度の質問紙に回答して頂く。④対照群:研究参加者は、意思決定するために必要な情報をWeb上で閲覧後、独自で意思決定を行う。意思決定前後には前述した評価尺度の質問紙にWeb上で回答して頂く。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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