研究課題/領域番号 |
24593321
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
川崎 優子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (30364045)
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研究分担者 |
内布 敦子 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (20232861)
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キーワード | がん看護 / 意思決定支援 / 療養相談 |
研究概要 |
本研究は、オーダーメイド医療におけるリスクコミュニケーションの中で、意思決定サポートが必要となるがん患者を対象に、「療養上の意思決定を支援するWeb版看護支援プログラム」を開発し、効果検証を行うことを目的としている。平成25年度は、介入研究開始に向けた基盤づくりの素地を形成した。 1.Web版:意思決定看護支援プログラムの実施可能性に関する調査 がん療養相談に携わるがん看護専門看護師4名、がん療養相談に訪れた患者7名を対象に、研究班が作成した意思決定支援プログラムを提示し、掲載内容の改善点について記述式のアンケート調査を行った。患者向けサイトは、意思決定に向けてハードルを感じさせない表現、意思決定の伴奏者となる医療者を見つけるガイド、身近にある相談窓口の場所や連絡先表記、臓器別のがん情報を優先する、必要な情報を選択できるサイトなどが改善点として明らかとなった。看護師向けサイトは、対象者の明確化、各種相談技術を用いる手順や場面の具体化、患者へ提供する情報量の目安設定などが改善点として明らかとなった。 2Web版:意思決定看護支援プログラムの検討 1の調査により、意思決定支援プログラム構成は、意思決定に必要な情報に限局した情報検索サイトを構築し、看護師が用いる意思決定支援方法をより具体化することでがん患者の意思決定支援ツールとして活用できることが示唆された。そこで、調査結果の内容を基にWeb版:意思決定看護支援プログラム(患者向け)の修正し、患者の意思決定プロセスに関する評価指標の検討を行った。さらに、看護師向けの「がん患者の療養上の意思決定プロセスを支援する共有型看護相談モデル(Nursing Model for Supporting Shared Decision Making :NSSDM)」を用いた意思決定支援ガイドブックを作成し、介入時の判断基準を明確化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は「がん患者用のWeb版意思決定看護支援プログラム」の掲載内容を作成、平成25年度は、掲載内容の修正および看護師向けの意思決定支援ガイドブックを作成した。現在、プログラムの効果検証を目的とした他施設共同介入研究を以下のとおり実施中である。 対象・方法:治療選択、ケア内容の選択、療養の場の選択などに関する意思決定サポートを必要としているがん患者を対象に、がん看護専門看護師が「がん患者用のWeb版意思決定看護支援プログラム」を提供し効果検証を行う。 研究デザイン:実験群と対照群を用いた準実験研究であり、Primary outcomeは葛藤尺度(DCS)、Secondary outcomeは状態-特性不安検査(STAI)を用いて測定する。 実施方法:実験群は、看護師が面談前の患者にWebサイト「がんになっても・・・あなたらしく納得のいく生活を送るために~意思決定の進め方~」を紹介し、意思決定するための準備状態を整えるために働きかける。また、面談時には「がん患者の療養上の意思決定プロセスを支援する共有型看護相談モデル(NSSDM)」を用いた意思決定支援ガイドブックを用いて意思決定支援を行う。対照群は、看護師が通常の面接(主治医からの病状および治療内容の説明を受けた患者に対し、看護師が患者の認識度を確認し、必要に応じて情報提供や心理的サポートを行うこと。30分~1時間程度)を行う。面接者は実験群と同一の看護師とする。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の多施設共同介入研究を分析し、以下の2点について取り組む予定である。 1.WEB版意思決定看護支援プログラムの洗練 オーダーメイド医療において、本プログラムを活用するために必要な要素を抽出し、多様な意思決定に対応できるプログラムへと発展させる。さらに、「がん患者の療養上の意思決定プロセスを支援する共有型看護相談モデル(Nursing Model for Supporting Shared Decision Making :NSSDM)」を用いた意思決定支援ガイドブックを、がん看護専門看護師だけでなく一般看護師も活用できる方法を検討し、ガイドブックの簡易化および具体化を図る。 2.患者用のWEB版意思決定看護支援プログラムの普及活動 ①日本看護科学学会学術集会(2014年11月29日、30日)において交流集会を企画し、参加者へプログラムを普及するとともに、看護教育、現任教育における意義についてディスカッションを行う。②日本がん看護学会学術集会(2015年2月28日、3月1日)において交流集会を企画し、参加者へプログラムを普及するとともに、臨床適応に関するディスカッションを行う。
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