本研究は、オーダーメイド医療におけるリスクコミュニケーションの中で、意思決定サポートが必要となるがん患者を対象に「療養上の意思決定を支援するWeb版看護支援プログラム」を開発し、効果検証を行うことを目的としている。平成26年度は、多施設共同研究を行い、対象群からは以下の結果が得られた(介入群はデータ収集継続)。 1.研究対象:がん療養相談に訪れた患者32名 2.研究方法:がん看護専門看護師が意思決定支援を行ったがん患者を対象に、介入の前後にSTAI、DCSの質問紙調査を行いSPSS17.0を用いて分析。介入後に看護師は患者の反応について記録し内容分析の手法を用いて分析。 3.結果:面談前後のDCSの値は、5つのサブスケール全てが有意に低下していた(p<0.05)。4名が面談後に上昇(転移、再発等)。1名が面談後に急激な低下(術式選択)。面談前後のSTAIの値は、状態不安の項目のみ有意に低下していた(p<0.05)。3名が面談後に上昇(転移、再発、重複がん等)。面談後に患者に見られた変化としては、不安の要因が明らかになる、前向きな気持ちになる、意思決定の道筋や方向性が明確になる、意思決定の構えができる、情報を得てイメージ化が進む、選択肢が広がる、自分なりの対処方法が見つかる、自分の価値観を見出す、8つのカテゴリが抽出が抽出された。 4.考察:意思決定までに複数回の面談を要した6事例は精神的サポートを要しており、そのうち4事例は治療経過が長いという特徴が見られた。今後は、患者の病期(再発、転移、重複がん等)に応じた継続的な意思決定支援方法について検討する必要があることが示唆された。 また、日本看護科学学会学術集会(11月30日)、日本がん看護学会学術集会(2月28日)にて交流集会を開催し、参加者にプログラムの普及および臨床適応に関するディスカッションを行った。
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