研究実績の概要 |
本研究目的は,脳梗塞患者に対する薬物療法を核とした再発予防教育プログラムを構築するために,初発軽症脳梗塞患者を対象とし,再発予防に必須である服薬行動(服薬コンプライアンスと服薬の認識),健康コントロール感,リスクファクター疾患と生活習慣,基本属性等について,発症後12ヶ月間の経時的変化とそれらの関連を明らかにすることであった. 発症後1年間のうち,入院時,発症後3ヶ月,6ヶ月,12ヶ月の計4回データ収集を行う予定であった.入院時データ収集できた対象者は51名で,男性72.5%,年齢66.8±8.5歳,ラクナ梗塞62.7%であった.1年間のうち4回継続してデータ収集できたのは31名であった.平成26年7月末ですべてのデータ収集を終えた. 服薬行動は服薬コンプライアンス尺度と服薬アセスメント指標で評価した.入院時の服薬コンプライアンスに有意に関連していたのは,職業の有無,リスクファクター疾患保有の有無,喫煙習慣の有無,運動習慣の有無であった.また,健康コントロール感が医療専門職に所在していると認識していることと服薬コンプライアンスには有意な関連があった.また,服薬作業や服用方法の面倒さと服薬コンプライアンスが関連していた. 12ヶ月間継続してデータ収集できた31名についての服薬コンプライアンス得点は,入院時よりも発症後3ヶ月時点で高くなるが,発症後6ヶ月で軽度低下する.しかし12ヶ月後には入院時と比較して有意に高くなっていた.一方,時間の経過とともに薬代金の負担感が高くなる傾向であった. 脳梗塞再発予防のための服薬指導は,有職者やリスクファクター保有者の健康認識を充分理解して行う必要がある.また,服薬継続の支援は,薬代金の負担感を少しでも軽減させるために,服薬の簡便さ,受診機関へのアクセスの考慮,家族からの支援を強化する必要性が示唆された.
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