研究課題/領域番号 |
24593324
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 愛媛県立医療技術大学 |
研究代表者 |
松井 美由紀 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 講師 (30511191)
|
研究分担者 |
秋元 典子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (90290478)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | がん看護 / セカンドオピニオン / 意思決定支援 |
研究概要 |
本研究の目的は,セカンドオピニオン外来受診を経たがん患者が,最終的に治療を受けると決めるまでのプロセスとそのプロセスの影響要因を明らかにし,セカンドオピニオン外来受診を経たがん患者の初期治療に対する意思決定を支援する看護実践モデルを開発することである。そのため,2段階の研究(研究1および研究2)を行う。今年度は,セカンドオピニオン外来受診を経て治療法を決定した患者が,どのような体験を経て初期治療を受ける決意をしていくのかを明らかにすることを目的に研究1を行った。 本研究においては,初期治療決定時にセカンドオピニオン外来受診を経たがん患者を対象にし,どのような体験を得てセカンドオピニオン外来受診を決意していくのか,さらにどのような体験を経てセカンドオピニオン外来受診を経て治療を受けることを決意していくのかに関するデータを半構造化面接により得る。 今年度は,研究協力施設2施設において,研究対象候補者を関係部署の担当者からの紹介および研究協力者募集ポスター掲示にて募集し,1名の対象者に対して,データ収集を行った。面接時間は1時間程度であった。 現在,データ収集と並行し,1例目の全データを熟読し,概念を生成している段階である。今後,より深いデータを得るためには,1例目での分析結果が基盤となり得る。 加えて文献検討も継続しているが,セカンドオピニオンを受けたがん患者の意思決定プロセスとその影響要因は明らかになっていない。以上のことからもこの研究を進めていく意義は高いと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度の目標達成度は,10%である。 今年度は,セカンドオピニオン外来受診を経て治療法を決定した患者が,どのような体験を経て初期治療を受ける決意をしていくのかを明らかにするという目的で,データ収集を中心にすすめていく予定であった。 しかし,データ収集フィールドとしての許可を得ることはでき,2施設ともに研究に対して協力的であったが,研究対象者が集まらず,今年度中にデーター収集をした対象者は,1名であった。1名のデータは面接内容を逐語録としてデータとし,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて分析を行った。 当初の計画では,事前にセカンドオピニオンを受ける患者数の調査をした結果,10名程度の対象者からデータ収集ができる見込みであった。これまでの研究協力候補者は,4名であった。そのうち,2名はポスター掲示にて患者自ら参加協力をしたい旨の連絡を受けた。しかし,初期治療ではない再発時にセカンドオピニオンを経ていたため,除外とした。その他の2名は研究協力候補者の紹介が遅れ,手術などの治療を受けてしまっていたため,条件に満たなかった。 研究対象者が少ない理由として,初期治療時にセカンドオピニオンを受けた場合,専門病院へ治療に行ってしまう患者が多い現状があることがいえる。さらに対象者の条件として初期治療を受けるまでとしていたこと,ポスター掲示だけでは十分に対象者があつまらないことが,対象者を少なくした原因と考えられる。 以上のことから,対象者を初期治療を受けるまでではなく,受けたあとでも治療成果が決定されていない患者とし,対象者の条件を広げることとした。さらに,ポスター掲示だけの施設においては,ポスター掲示だけではなく直接紹介してもらうように依頼することとした。また,データ収集フィールドの拡大をはかり,専門病院を含めて協力病院を増やしていく対策を企てる必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題を今後推進していくために,平成25年度以降の研究計画の変更を行う。平成24年度はデータ収集できなかったため,データ収集および分析期間を平成25年度・平成26年度に延長し,平成26年度以降にセカンドオピニオン外来受診を経たがん患者の初期治療に対する意思決定を支援する看護実践モデルを開発することとする。さらに今後研究が推進していくための方策として,対象者の条件・データ収集フィールドの拡大を行う。 具体的に平成25年度および平成26年度の実施計画として,研究目的をセカンドオピニオン外来受診を経て治療法を決定した患者が,どのような体験を経て初期治療を受ける決意をしていくのかを明らかにすることに変更する。そのため,平成26年度以降にセカンドオピニオン外来受診を経たがん患者の初期治療に対する意思決定を支援する看護実践モデルを開発することができるようにしていく。 研究対象者の条件の変更点として,「治療を受けることを決定し,治療の準備をするために外来受診する患者もしくは入院患者」としていたが、その条件を「治療を受けることを決定し,治療の成果がでるまでに外来受診する患者もしくは入院患者」とする。 さらに,研修場所も拡大して1施設追加とする。愛媛県立中央病院,松山赤十字病院および愛媛大学医学部附属病院の入院病棟および外来とする。(承認を得る手続は終了し,すでに承諾を得ている。)追加しても対象者が少ない場合は,新たな研究協力施設を開拓し,研究対象者数の確保に努める。データ収集および分析方法は、変更せずに,半構造化面接法にて行い,録音もしくは得られた内容を逐語録としてデータとする。データを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにて分析を行い患者の体験を明らかにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画としては,今年度データ収集が1名のため,テープ起こし費用を使用しなかった。インタビュー後の逐語録を作成時のテープ起こしは,研究代表者や研究分担者のみでは時間的に難しく,テープ起こしの協力者とテープ起こし技術料への支払いが必要となる。そのためその費用に関しては,次年度の研究費として今年度の必要も加えて使用する。 さらに研究施設への交通費は,研究フィールドの拡大に伴い,施設数が増えたことで研究フィールドへの打ち合わせやデータ収集時に交通費が必要である。加えて,研究代表者と研究分担者との打ち合わせも,研究分担者がデータ収集やデータ分析時のスーパービジョンの役割を担っているため,より多くのデータ収集ができれば,頻回な打ち合わせも必要となり,そのための交通費も必要となる 加えて今年度使用しなかった必要経費に関しては,次年度の研究費として使用する。
|