近年、患者には自分が受ける治療法を、医師の説明を受け選択し自分で決めることが求められる状況だが、患者にとって直ちに選択・決定することは難しい。特に乳がん患者の場合、治療法の選択の多様性や女性にとって乳房に対する決断は困難を極める課題である。このような課題に対して自己決定支援の具体的システムであるセカンドオピニオンを受けて初期治療を決定する患者もいる。治療選択の意思決定に関する先行研究はあるものの、セカンドオピニオンを経た患者の意思決定プロセスの全容は明らかにされていない。がん患者が納得して自らの意思決定で治療を受けることは、治療に対して前向きに取り組むことにつながりその後の経過などにも影響していく。がん患者の納得して治療を受けたいということを生かした意思決定を支援できる看護実践を具現化するためには、セカンドオピニオンを受けた乳がん患者の初期治療の選択と決定過程を明らかにすることが不可欠である。 本研究の目的は、乳がんと診断されたセカンドオピニオンを経た患者が最終的に治療を受けると決意するまでのプロセスを明らかにし、その過程を支援する看護実践への示唆を得ることである。対象は、乳がんと診断され、初期治療を決意するときにセカンドオピニオンを受けた患者とし、データは自由回答法による半構造化面接で得た。昨年度は10名のデータ収集が終了し、今年度14名のデータを収集し、合計24名を対象に分析を行った。データ分析は、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。 現在、質的研究者のスーパーバイズを受け、研究者間での繰り返しによる分析内容の一致性を確保しながらすすめている。概念生成、カテゴリー生成、カテゴリー相互の関係性を明らかにして上で、結果図を作成して、その概要を文章化した段階である。今後、これらの結果を基に考察をし、論文としてまとめ、発表していく予定である。
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