研究課題/領域番号 |
24593326
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
大釜 徳政 獨協医科大学, 看護学部, 准教授 (50382247)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | Cancer Rehabilitation |
研究概要 |
平成24年度の研究計画は、器質性構音・音声機能低下を抱える口腔癌患者に対するオーラルリハビリテーションの暫定プログラム実施群を介入群、従来の機能低下の程度に応じた機能訓練を対照群として、介入群と対照群における会話に対する術後生活評価得点を比較し、オーラルリハビリテーションの暫定プログラムの有用性を検証することであった。まず、口腔癌患者の会話変容プロセスは、術後2週間以内において単音節の歪みを補足しながら意志疎通を図る【意志疎通の到達段階】、術後2週間~1ヶ月において難しい構音を回避して会話の明瞭性に焦点をあてながら会話効率・正確性を図る【会話効率・正確性の獲得段階】、そして術後1~3ヶ月において社会的印象に関心を寄せながら会話全体の流暢性に焦点をあてる【会話流暢性の促進段階】という3段階から構成された。この3段階の時期に渡る会話変容プロセスに応じた暫定リハビリテーションプログラムとして、まず手術療法を受けた口腔癌患者の術後2週間以内の時期に視覚・聴覚的弁別訓練、漸次接近法を、2)術後2週間~1カ月の時期に漸次接近法、代替構音による会話習慣法、舌-口蓋接触パターン評価および悪習慣除去に関する指導を、3)術後1ヶ月~3カ月の時期に会話流暢性に関する指導を実施する内容を作成した。 加えて、オーラルリハビリテーションプログラムの効果を術後生活評価として検証するため、16項目から構成される他記式5段階評定法による術後生活評価質問紙の作成を試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度の研究計画は、耳鼻科・頭頸部外科・口腔外科を併設する医療施設で舌切除術を受けた口腔癌患者のうち、50名程度を便宜的対象者とする予定であった。しかし、調査施設は1施設に止まり、対象者数も目標に達していない。口腔癌患者を研究対象とする場合、他の疾患に比べ罹患数が少ないことから、対象者の確保のため必要に応じて協力施設を拡大する必要がある。したがって平成25年度は、対象施設を1施設から複数施設へと増やし、対象者数の確保に努める予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、オーラルリハビリテーションの暫定プログラムを検証するため、引き続き対象者を介入群と対照群に振り分けて調査を実施する予定である。 加えて、本邦にある医療施設で舌切除術を受けた口腔癌患者150名程度を便宜的対象者として、会話変容プロセスの各段階の時期(術後2週間,1ヶ月,3ヶ月)において、舌切除範囲と患者特性(性別、年齢、日本標準職業分類による就業復帰背景、同居家族構成)の差異によって術後生活評価に対する影響要因の影響力の違い、術後生活評価と影響要因との因果関係について、構造方程式モデリングを用いて検証する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度使用額は746,981円であり、これは音響、舌-口蓋接触を分析する機材・ソナグラムRION-SN12、パラトグラムRION-DP03が両者とも製造中止で購入できず、代用品としてJMS舌圧測定器を購入したことによる差額から生じた金額である。 しかし、オーラルリハビリテーションの暫定プログラムを検証するための対象者数が目標に達していないため、引き続き調査費用に充てる予定である。
|