研究課題/領域番号 |
24593327
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
砂賀 道子 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 講師 (50389748)
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研究分担者 |
二渡 玉江 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (00143206)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | がんサバイバーのレジリエンス |
研究概要 |
最新の知見に基づき年々治療が細分化、複雑化する中で乳がんサバイバーは、治療選択や治療継続において難しい判断を迫られている。乳がんの生存率は高いが、その高さ故に長期に亘り多くの乗り越えなければならない問題がある。 レジリエンスは困難を乗り越えていくために必要な力であるが、危機に際してのみ活性化されるのではなく、長期的に人の生きる意欲に影響を持つといわれているため、乳がんサバイバーの支援に有効な指標となると考える。治療が外来にシフトされている現在、個人のレジリエンスを高めるための外来看護援助モデル開発は重要であり、本研究から導き出された尺度を評価指標とした援助モデルは、乳がんサバイバー個々のレジリエンス能力を見極めた介入を可能にし、乳がんサバイバーの長期的な適応に貢献できると考える。 そのため本研究は、第1段階として乳がんサバイバーのレジリエンス尺度を開発し、第2段階に個人のレジリエンスという力を高めるための外来援助モデルを開発することを目的としている。 平成24年度は、第1段階のレジリエンス尺度開発では、<1:レジリエンス構成要素の明確化と尺度項目の作成><2:内容妥当性の検討>までを行っている。 乳がんサバイバーのレジリエンスの構成要素を基に、概念分析によるがん体験者のレジリエンス特性と、欧米の先行研究であるResilience Development Model、The Adolescent Resilience Modelや、小花和(2004)のレジリエンス要因、他の類似した既存尺度を参考に項目候補の収集を行い、尺度原案を作成した。現時点では、がん看護の専門家(がん看護専門看護師、及びがん看護研究者数名)のスーパーバイズを受けている段階であり、項目を修正・洗練化していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では24年度に<1:レジリエンス構成要素の明確化と尺度項目の作成><2:内容妥当性・表面妥当性の検討>そして、<3:内的整合性検討のための調査>では、修正した評価尺度を用いて約300名の乳がん手術体験者を対象として調査を開始する予定であった。 まず、レジリエンスの構成要素の明確化については、予定通り行えたが、それを基にした研究枠組みの構築の段階で、当初考えていた概念分析の結果や欧米の概念モデルだけでは十分な検討が出来ず、実存的理論の検索とその解釈に予想以上の時間を要したことが計画の進行を遅らせたと考える。 また、次の段階である専門家による内容妥当性・表面妥当性の検討に入る際に、調整が円滑に進められなかったことも要因のひとつであると考える。 このように、達成度としてはやや遅れているが、この段階で十分な検討を行ったことは 今後研究推進していく上で必要不可欠であったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、<3:内的整合性検討のための調査><4:内的整合性・安定性・構成概念妥当性の検討>を進めていきたい。施設での調整が円滑に行えるよう協力者との連携を図りっていくことが重要であると考える。 本調査は300名を予定しているため、どうしても郵送法を取り入れなければならない。回収率を上げるためにも、簡潔で分かりやすい尺度項目を完成させ、負担を少なくできるようにしていく。また、少しでも多くの対象者と施設で面接しながら調査できるよう調整していきたい。 もし計画通りに進まない場合は、調査対象数や調査方法など再度分担者と協議し、研究計画全体の見直しを図る。また、研究の精度を重視しながら研究協力者からスーパーバイズを受ける時期や回数の増加を検討し、適切な指導を受けることができるよう焦点を絞り依頼する努力を続け進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額(B-A)は、昨年度、調査が開始できなかったことにより生じていると考えている。 本調査では300名と調査対象者が多いため、人件費・謝金が最も多い支出となる予定である。郵送法も行っていくため、、郵送時にかかる封筒・切手代などが必要である。 また、評価尺度の信頼性・妥当性の検討の際に必要な研究協力者との会議費用、面接内容の逐語録作成にかかる費用、統計処理のためのデータ入力費用などの人件費・謝金も必要である。さらに、がん患者の看護、治療法などに関する最新の知見を得るために図書購入費、文献の複写にかかる費用、また研究者の責務として、研究結果を学術論文に投稿するための費用、翻訳代や別刷費などを計上する。
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