研究課題/領域番号 |
24593328
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
石田 順子 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (10455008)
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研究分担者 |
石田 和子 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (30586079)
神田 清子 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (40134291)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 家族支援 |
研究概要 |
がん患者の治療や療養は、入院から外来へシフトしている。そのため、患者を支える家族は戸惑いを感じ、ストレスの高い状態にある中で患者と問題を解決し、サポートしている。患者が平穏な生活を送るためには家族のサポートが必須である。患者の家族状況も様々であり、患者をサポートする能力にも差があると考える。 本研究の目的は、「がん体験者の力を引き出す家族員の支援尺度」を開発し、がん患者と家族がポジティブな日常生活が送れるようにするための「がん患者と家族の生きいき支援モデルの開発」を行うことである。 今年度は、「がん体験者の力を引き出す家族支援尺度」の原案を作成することを目的に、どのような患者の病期の家族を対象とし研究をしているのかまた、どのような支援が対象とされているのか文献レビューを行った。方法は、文献検索のデータベースは、医学中央雑誌Webを用いた。キーワードは「がん看護」&「家族支援」or「がん患者」「家族支援」とし、検索年は、2006年~2010年とし学会誌に載っている原著論文を対象とした。対象となる文献は47文献であった。そのうち、終末期を対象としている文献は28文献であり、周手術期および治療期を対象とする文献は5文献、病期を特定していないものが12文献であった。看護の振り返りから今後の患者や家族の支援に対する示唆を得た研究や現状を分析し患者・家族の支援について示唆を得ている研究が多かった。 しかし、家族がどのような支援を患者に提供しているかを明らかにした研究や患者はどのような家族支援を望んでいるのかを明らかにしている研究は見当たらなかった。現在は海外において、家族支援はどのような傾向にあるのか検索している。また、患者は家族のどのような支援を望み、家族はどのような支援を提供しているのか、明らかにするために患者および家族にインタビューを行い、研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の目的は、がん患者の家族の困難と患者を支援する力の明確化を行う予定で、関連する国内外の先行文献の文献レビューを行い、「がん患者の家族が患者を支援するのに可能な能力」について明確にし、「暫定版 がん体験者の力を引き出す家族員の支援尺度(案)」の作成をする予定であった。国内の文献レビューを行ったところ、がん患者の家族の困難と支援する力に関しての研究論文はないため、家族支援に着目して家族に対してどんな支援がされているかを文献で明らかにした。研究分担者と検討を重ねた結果、患者が求める支援と家族が患者に提供している支援のギャップが患者と家族をお互いにつらい思いをさせているのではないかということで、そこがクリアになれば、患者、家族ともに生きいきと生活が送れる、まずは患者が求めるものと家族が提供している支援のギャップをあきらかにすることを目的とすることにした。 そこで、現在は、患者はどのような支援を家族に求めておりまた家族は、患者にどのような支援を提供しているのかを明らかにすることを目的として、データ収集を行うために準備を進めているところである。中々、海外文献においても良い文献が見つからない状況であるが、家族を対象としどのような尺度が開発されているかも含め、並行して海外文献も検索しているとことである。
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今後の研究の推進方策 |
現在はこの研究を進めていく目的で「がん患者および家族の効果的な支援に関する研究」というテーマで、研究計画書を作成し、各施設の倫理委員会の承認を得るための準備を行っている。対象を【I期:acute stage】:急性期の生存期間(がん発見から一連の治療終了までi診断確定・告知 ii初期治療期 iii追加治療期II期:extended stage、およびpermanent stage】:延長された生存の時期(病気が治療に反応して一区切りした時点から維持療法を含め、延長された生存の時期)および長期に安定した生存の時期(変化のない時期、ただし再発を含む)(がんサバイバーシップの季節)の病期にある患者と家族30名にインタビューをする予定で研究計画を進めている.その後、尺度の暫定版を作成することを目的に概念枠組みの作成等を行い、予備調査まで行っていく予定である。インタビューの結果によっては、作成尺度の方向性が変更になることも考えられる。研究分担者に適宜アドバイスを受け、客観的な判断のもとに研究を進めていきたいと考えている。 この課題をはじめた昨年から月に1~2回、定期的に研究分担者とこの研究課題について検討を行い、様々なアドバイスをもらっている。 この研究を順調に進めていくために、研究分担者のスーパーバイズを定期的に受ける予定で、年度初めに研究ゼミの計画を立案した。積極的に研究を進める予定であるが、躓いた時に、相談できるよう予定通りゼミに参加し、推進していく予定である。 また、施設でのデータ収集においては各施設の専門看護師に協力をしていただける予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画は、まず、インタビューを行う対象者への謝礼である。現在の予定では、120名にインタビューをすることになるので、3,000円/1人のクオカードを購入するのに36万円かかる。研究施設への謝礼を10万円とし、研究分担者のいる新潟の施設でデータ収集をすることもあるので、交通費として50万円計上する。自分自身の研鑚と成果の発表のための経費として20万円計上する。データを施設でまとめることも予想できるため、携帯用のパソコンを購入する予定である。その他研究に必要な文房具、文献、本等資料の購入に対する費用も必要になる。月に1~2回研究のために会議を開くので、会議費も計上する必要がある。 次年度の末から翌年に向けては、作成した尺度の本調査に入る予定である。そのため、研究参加者への謝礼および尺度の信頼性と妥当性の検討のために既存の尺度を購入する必要がある。またそれを分析するために統計ソフトの更新も行わなければならない。また、次年度は海外において学会が開催されるためそこでの成果発表を目指して、それに向けた研究費用の計上も視野に入れておく必要がある。
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