研究課題/領域番号 |
24593335
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
田中 晶子 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (90424275)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | さする / 触れる / 呼吸 / 意識障害患者 / 刺激 |
研究概要 |
24年度目的:急性期意識障害患者の呼吸が「さする」刺激と「触れる」刺激でどのように変化するのかを明らかにする。 研究方法:挑戦的萌芽研究2009~2011で、健康な成人を対象として、「さする」刺激は呼吸数が上昇する刺激であることが明らかになった。臨床実験では、健康成人に実施した実験プロトコルである、安静(4分)-刺激(1分)-安静(1分)を2回繰り返すという方法と同様の方法で臨床実験を実施した。臨床実験を行うにあたり、学部及び実験を実施する病院で倫理審査の承認を得て行った。患者選択に関しては、研究代表者が患者選択を行い、担当医師が患者の病状が落ち着いており実験を実施できると判断した意識障害患者に実施した。測定器具は、TISSUE IMPLANTABLE THERMOCOUPLE MICROPROBE(IT-18)physitemp社製を鼻腔にテープで装着するかLT1132PiezoRespiratoryBeltTransducer ADINSTRMENTS社製を胸部に装着して呼吸状態を測定した。呼吸データはPC上のPower Lab16SP(AD Instrument)に記録し、安静及び刺激データは30秒ごとに分析した。 結果:対象患者は、5例である。くも膜下出血患者2例・脳幹部梗塞患者1例・視床出血1例・急性硬膜下血腫1例の実験を実施した。5例中1例は喀痰喀出が多く実験を途中で中止した。被験者の呼吸数の変化については、安静時と比較し、「触れる」刺激では4例中2例は呼吸数が減少した。「さする」刺激においては4例中3例は呼吸数の増加がみられた。報告事例4例は全て女性であり、男性患者は1例である。現在症例数も少なく統計処理を行える状況ではない。従って今後は男性患者の症例数及び全体の症例数を増やし、有意差が導き出せるよう実験を継続していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
24年度では、意識障害患者の呼吸測定を臨床で実験し分析を行う計画を立てていた。 現在5症例の対象患者に健常者と同様の実験プロトコルである、安静(4分)-刺激(1分)-安静(1分)を2回繰り返すという方法で実験を行っている。症例数としては、10症例を考えている。現在くも膜下出血患者2例・脳幹部梗塞患者1例・視床出血1例・急性硬膜下血腫1例の5症例の実験を実施した。しかし5症例患者のデータを確認したところ、安静時の呼吸数が多い症例や、痰が多く実験を途中で中止した症例があり、5例全てのデータを活用できない状況にある。このようなことから今後6~7症例の患者に実験を行う予定である。当初の予定では、3月までにデータをまとめ、学会発表及び論文作成を行う予定であった。しかし実験にふさわしい対象患者が現れず、症例数が5例しかとれていない。今後臨床側と連絡を蜜に取り合い、実験対象患者を選択し、7月中までには10症例の実験を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
24年度の臨床実験の結果では、「さする」刺激において4例中3例は呼吸数の増加がみられた。しかし症例数が不足しているため、同様の実験プロトコルで25年7月まで実験を継続し、「さする」刺激は呼吸が増加するという有意な結果を導きだす。この研究結果を踏まえ25年・26年度は、健康成人を対象とし、呼吸をトリガーとする脳波双極子追跡法を用いて、「さする」刺激と「触れる」刺激を行うと脳のどの部位に変化が現れるかを追求する。そして触覚刺激の違いが脳にどのような影響をあたえるのかを明らかにすることを目的とする。 27年・28年度は、24年度に臨床で行った意識障害患者に近い患者を選択する。25年・26年度に健康成人に実施した実験プロトコルと同様の方法で、意識障害患者を対象とし、脳波双極子追跡法を用いて実験を行う。そして脳が賦活化する「さする」と「触れる」刺激方法を明らかにする。この結果を基に家族や看護師が簡単に実施できる触れ方を提案していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在意識障害患者の呼吸測定を臨床で実験し分析を行っている。そのため実験を実施する病院までの交通費や消耗品が必要である。またこの結果を発表するにあたり、論文翻訳のための資金も必要となる。25年度は脳波双極子追跡法を用いてどのような「さする」刺激と「触れる」刺激方法が脳をより賦活化するのかを健康成人で明らかにし、その後急性期意識障害患者を対象とし意識が回復する触覚刺激方法を明らかにする。従って脳波測定を実施する。現在昭和大学第二生理学教室に実験用脳波計は設置されているが、臨床で使用できる小型なものではない。本研究では今後急性期意識障害患者に脳波測定を実施する。患者のベッドサイドにはモニター等の医療機器が配置されている可能性が高い。そのため、実験器具はなるべくコンパクトなものが望ましい。そこでペーパーレスで持ち運びにも便利な脳波測定器を新たに購入する必要がある。(EEG-9100 ニューロファックスμ3,500千円×1台)解析方法は双極子追跡法を用いて定量的データ解析を行う。双極子追跡法のデータ取得及び解析に必要な専用ソフトは、第二生理学教室より無償提供される為、研究費には計上していない。
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