研究課題/領域番号 |
24593335
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
田中 晶子 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (90424275)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | touch / rub / 脳波 / 双極子追跡法 / VAS / 痛み刺激 |
研究実績の概要 |
痛みは、臨床場面で最も多い訴えのひとつである。患者の痛みを軽減する方法にタッチングがある。この効果を脳活動と情動から明らかにしている研究は少ない。本研究では、触れる(touch)とさする(rub)刺激が痛みの軽減に繋がるかを情動反応と脳波から脳活動を捉える双極子追跡法により効果の関係性を明らかにした。双極子追跡法(DT法)の特徴は、時間分解能が1msecである為、他の脳活動部位特定法(光トポグラフィー等)に比べわずかな変化を詳細にかつ経時的に見る事ができる。また脳表面だけでなく情動や記憶を司る扁桃体や海馬等の脳内部の変化も明らかにできる。この分析方法を用いて分析を実施した。被験者は健康女性20名で右示指に痛みを伴う経皮通電刺激を30 秒間ずつ与え、痛み刺激のみ、手背・背部にtouch及びrubをランダムに施行した。痛み感覚はVisual Analog Scaleで記録した。痛みの感覚は痛み刺激のみより背部-rubで有意に減少した。痛み関連電位発生源は、痛み刺激のみではP300内で左体性感覚示指領域、帯状回に認められたが、背部-rubでは これらの活動が認められなかった。痛み刺激と同時に他の刺激を与えることにより、痛みによる体性感覚、及び痛みの感覚が減少することが脳活動から捉えられた。これらの結果から、背部をさする(rub)刺激は、痛みを軽減させる刺激であることが明らかになった。今後は意識レベルが低下している患者さんを対象に実施する予定である。しかし脳波測定時に痛み刺激を与える必要があり、被験者に対する倫理的問題がで出てくるため、現在どのようなプロトコルで実験を実施していくことがよいのか検討している最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳波を用いた実験結果では、背部をさする(rub)刺激は、痛みを軽減させる刺激であることが明らかになった。今後は意識レベルが低下している患者さんを対象に背部のtouch及びrub刺激を実施する予定である。しかし脳波測定時に痛み刺激を与える必要があり、被験者に対する倫理的問題がで出てくる。その為現在どのようなプロトコルで実験が実施できるのか検討し、倫理委員会に申請を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
脳波測定時に痛み刺激を与え、背部にtouch及びrub刺激を行い、意識レベルが低下している患者さんに実験を実施していく予定である。しかし意識障害患者さんであると痛みの閾値が判断できないため、倫理的に問題が生じてくる。そこで、対象者を痛み刺激の閾値が判断できる認知症患者さんに変更し、実験が行えるかを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度に実験結果の分析ツールとして統計ソフトを購入する予定であった。見積もりをとった結果実支出額よりも請求額が高かった。そのため28年度に繰り越し、分析ソフトを購入する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
実験データを分析するためのソフトを購入し、残りの資金は今回の実験結果を論文にするための投稿資金として使用する予定。
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