研究実績の概要 |
【目的】慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease, 以下、COPD)の増悪に対する早期の治療開始が増悪からの回復期間を短縮させることが報告されており、増悪の初期段階で症状や徴候に気づき、受療行動をとれるよう、COPD患者のセルフモニタリングを促す支援が重要視されている。本研究では、看護者が、COPD患者が何に対して、どのように注意を払い、変化をどのようにとらえているのかを把握するために、「COPD患者の増悪に関するセルフモニタリング尺度」を開発し、その信頼性・妥当性を検証することを目的とした。【方法】文献レビューおよび面接調査に基づいて、測定尺度になり得る質問項目を抽出し、測定尺度案を作成した。表面妥当性を検討した後、信頼性・妥当性を検討するために、COPD患者を対象とした質問紙調査を実施した。なお、本尺度の安定性(再現性)を検討する目的で、再テストを実施した。項目の選定および因子妥当性の検討には探索的因子分析と確証的因子分析を行い、内的整合性の検討にはCronbachα係数の算出、基準関連妥当性の検討には、慢性疾患をもつ人のセルフケア能力を査定するSelf-care Agency Questionnaire(SCAQ)を外部基準とし、相関係数を算出した。【結果】尺度の信頼性・妥当性が確認され、開発した尺度はCOPD患者の増悪に関するセルフモニタリングを適切に把握できる可能性が示唆された。
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