研究課題/領域番号 |
24593347
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
小野 美穂 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (20403470)
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研究分担者 |
太田 浩子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (90321207)
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キーワード | ピア・サポート / がん / 同病者支援 / 慢性疾患 |
研究概要 |
乳がん患者を対象としたピア・サポートプログラムを希望する患者は25年度も増えており、主な理由として、化学療法や術後、自分がどうなっていくのか体験者の経験を知りたい、療養しながら仕事が続けられるかどうか、手術後の夫婦生活について経験を聞いてみたい、また、再建手術を受けるか否か、再建手術を行う場合、自家組織を使うかインプラントを使うかについて自己決定する材料がほしい等といった同じ病気の体験者でないと対応できない内容を求めていることが明らかになり、医療者とは異なった側面からの支援の重要性が示唆された。そして、実際にピア・サポーターが提供した支援については、漠然とした不安、治療への迷いや化学療法の副作用に関する不安を傾聴し、自分の体験を語ったり、自分が仕事を続けられた経験や家族についての話、脱毛については業者がどのように対応してくれたか等具体的情報の提供、さらには、患者の医療や治療に関する質問に対して、医療者にきちんと尋ねること、コミュニケーションをとることの必要性を伝えてくれるなど、単に精神的なサポートや生活上の実践的な知恵の共有に留まらず、自己意思決定のための材料の一つとして役立っていたり、医療者と患者との関係性をより良くするような支援まで実施されていることが浮き彫りとなった。医療者とピア・サポーターとの協働の観点では、患者とピア・サポーターのマッチング調整や状況把握、ピア・サポーター側の支援等を担うコーディネーターである乳がん看護認定看護師の役割も明確になりつつあり、その具体的役割についても分析中である。また、ピア機能が効果的に発揮されている慢性疾患セルフマネジメントプログラムにおいて、糖尿病、難病、がん患者等、多くの他疾患の患者にとってもピア・サポートの必要性・重要性が明らかになった。25年度は、これらの成果について日本看護科学学会学術集会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
25年度に今までの成果について、論文にまとめ投稿予定であったが、学会発表に留まっている。データ分析も予定していたより多く時間を要しており、やや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
25年度までの成果に関する作成中の論文を仕上げ投稿すると同時に、26年度は、25年度に把握した疾患にピア・サポートの導入を試みる予定である。 疾患の候補としては、糖尿病あるいはオストメイトを考えている。導入後、各事例に対してインタビュー調査を実施し評価を行う。 また、3年間の研究全体についてまとめを行い、全体を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
論文作成途中であり、予定していた論文の翻訳、投稿料使用に至っていないこと、および業務の都合により、参加を予定していた研修に参加できなかったため 現在、作成している論文の翻訳、投稿料として使用する。また、26年度開催のピアサポート関連の研修に参加し交通費・参加費として使用する。 26年度請求分については、関連学会への参加、研究会議、ピア・サポート導入および導入事例の調査等、報告書作成に使用予定である。
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