研究課題
平成26年度も乳がん患者へのピア・サポートプログラムの事例を重ね、20例に至った。年代は30歳代、40歳代、50歳代がほぼ均等数であり、依頼は「手術前」が最も多く、「乳房再建手術」を行うか否かに関する内容が多くなっていた。ピア・サポーター依頼が増えている現状を受け、またピア・サポーターの重要要素である依頼患者の年代や相談内容等との類似性という点を可能な限りクリアするために、26年度は新たなピア・サポーター育成のための研修会を開催、講師を務めた。26年度は今までの成果を英語論文にまとめ、現在投稿中である。医療者とピア・サポーター協働によるピア・サポートプログラム構築に向け行っている乳がんピア・サポートプログラムの実態および効果について、3年間を通して主に質的分析およびテキストマイニング手法により明らかにした。主な結果として、ピア・サポートプログラムにより、患者は単に精神的なサポートや生活上の実践的な知恵や工夫を教わるだけでなく、自己意思決定のための材料としてピア・サポーターの経験を役立てたり、医療者と患者との関係性をよりよくするような支援まで受けていることが明らかとなった。また、乳がん以外の疾患である難病や生活習慣病といった疾患患者のピア・サポートの実態やピア・サポートプログラム導入の可能性についてインタビューや患者会・研修会等への参加を通して検討を重ねた。研究全体を通して、患者は患者会等ピア・サポートを受けられる機会が身近にあったとしてもその場に出て行く気力・体力がない段階であったり、物理的に参加が難しい状況が多いという現状を把握した。これらより、ピア・サポートを欲しているが受けられない状況にある患者のニーズに応えるためには、患者が定期的に受診する場である病院等においてピア・サポートを受けられるようなシステムが必要であることが明らかとなり、本研究の意義、重要性が確認された。
すべて 2014
すべて 学会発表 (2件)