研究課題/領域番号 |
24593348
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
蝦名 智子 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (50583738)
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研究分担者 |
柏倉 幾郎 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (00177370)
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キーワード | 臍帯血 / 胎児 / 8-OHdG / 酸化ストレス |
研究概要 |
本研究は、母体と胎児間にある臍帯および胎盤を循環する臍帯血に着目し、妊娠・分娩に関連する母子情報と各種ストレス関連物質と、胎児の健康や発育状態との関連性について評価・解析し、次世代を担う児が心身ともに健康に発育・発達するために妊娠中の母親への支援を目指すことを目的としている。平成25年度の研究結果、以下の点を明らかにし、報告した。 1.様々な疾患の発症や進行に関与することが示唆されている酸化ストレスに着目し、DNA損傷マーカーである8-OHdGを指標に正期産児における臍帯血中の酸化ストレスと胎児および胎盤の発育状態との関連性を検討した。正期産児においては出生体重と8-OHdGとに関連性は認められなかった。肥満妊婦においては、胎盤の発育が酸化ストレス増強因子となる可能性が示唆された(The Jounal of Maternal-fetal& Neonatal Medicine, under revision)。 2.胎児の発育に関連する要因として母体の体格との関連性を検討した。初産婦と経産婦では胎児の発育に影響する母体の体格因子が異なることが明らかにされた(Experimental and Therapeutic Medicine)。 3.出生した児の発育状態と新生児期の栄養方法との関連性を検討した。母乳栄養と人工栄養では発育に差がないことが示された(Experimental and Therapeutic Medicine) 4.臍帯血中の幹細胞分離までの時間が細胞数に影響するか検討した。有核細胞からCD34陽性細胞の回収率は24時間未満で有意に高いことが明らかにされた(Journal of health Science Reserch)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の課題解明に向けて取り組んだ結果、臍帯血中のストレス関連分子と母体の体格及び胎盤の発育が胎児の酸化的損傷に影響することや胎児・新生児の発育に関連する要因についての知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、母体の詳細な生活習慣や精神的側面と胎児の酸化ストレスとの関連性を明らかにし、出生後の児が心身ともに健康に発育・発達するために必要な母親への支援について検討する。 1.周産期関連因子と臍帯血中に含まれる各種ストレス分子との関連性解析:周産期に関わる母子因子と臍帯血の各種ストレス関連分子との関連性を解析する。 2.臍帯血に含まれる各種ストレス関連分子と児の発育との関連性解析:各種ストレス関連分子と生後1か月の発育状態との関連性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は、臍帯血提供数が十分に確保できなかったため、臍帯血の調整及び酸化ストレスマーカーの測定・解析に使用する物品費、解析補助費に残額が生じた。また、それに伴い予定していた学会に参加できなかったため旅費に残額が生じた。 今年度は本研究を遂行するために、①データ解析補助費(謝金)、②各種ストレス関連分子測定用のELISAキット及び酸化ストレスレスおよび抗酸化力評価のためのアッセイキット購入費、③実験及び研究打ち合わせのための旅費、研究成果の学会発表および投稿費に使用する。
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