本研究の目的は、母体と胎児をつなぐ臍帯および胎盤を循環する臍帯血に着目し、妊娠・分娩に関連する母子情報と各種ストレス関連物質と、胎児の健康や発育状態との関連性について評価・解析し、次世代を担う児が心身ともに健康に発育・発達するために妊娠中の女性への支援を向上させることにある。この課題解明に向けて次の3項目を主題に研究活動を展開した。1.周産期関連因子と臍帯動脈pH・ガス分析値との関連性、2.周産期関連因子と臍帯血中に含まれる各種ストレス関連分子との関連性解析、3.各種ストレス関連分子と児の発育との関連性の解析。平成26年度の研究結果、以下の点を明らかにし、報告した。 1.DNA酸化損傷マーカーである8-hydroxy-2'-deoxy- guanosine(8-OHdG)を指標に胎児の酸化ストレス状態と胎児の発育に関連する胎盤に着目し、正期産児の酸化ストレスとの関連性について検討した。肥満妊婦では、胎盤の増大は胎児の発育を促進する一方、酸化ストレスを増大させる可能性があることが示唆された。
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