研究実績の概要 |
平成27年度は、妊娠期のアセスメント指標の開発として、妊娠期快適性尺度短縮版、日本語版コペアレンティング関係性尺度(Feinberg,2010)に取り組んだ。妊娠期快適性尺度短縮版は、内容妥当性、基準関連妥当性、構成概念妥当性が確保され、尺度全体のα係数=.934、各下位尺度α=.796-.893と良好な内的一貫性が確認された。探索的因子分析の累積寄与率は81.0%であり、5因子15項目となった。確証的因子分析でも良好なモデル適合度が得られた。日本語版コペアレンティング尺度は開発者より許可を得てWHOの手順に従い開発を行った。内容妥当性、基準関連妥当性、構成概念妥当性が確保され、尺度全体のα係数=.856、各下位尺度においてはα=.664-.950とまずまずの内的一貫性が確認された。 また昨年度に引き続き、海外におけるcoparentingを促進するためのプログラムの内容の検討を行い、その一部を日本語に訳し、日本文化における適用可能性を検討した。 電子コンテンツに関しては、この数年で著しい発達をしており、システムを構築する前段階として、タブレット端末やスマートフォンに対応した、現存しているアプリの調査を行った。iPhoneに対応する無料で入手でき、妊娠期に使用できるアプリの探索を行ったところ、2015年2月現在で98件が認められた。それらは妊娠週数や胎動、陣痛のカウントに関係したもの、妊娠経過や胎児の成長、社会サービス、育児準備物に関する知識提供に関係したもの、妊娠経過や心理的変化、胎児の成長などの記録に関係したもの、そして母同士のコミュニティに関係するものに分類された。地域限定で提供されているものや、妊婦だけでなく夫などの家族と共有できる機能を持つアプリ、また妊娠期だけでなく、妊娠前から育児期まで継続して使用できるものなど、その機能は多岐にわたることが明らかとなった。
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