平成26年度もプログラムについての評価を実施した。 小学校では、小学校3年生の児童及び保護者を対象に18校にてプログラムを実施した。プログラム参加者は、児童659名、保護者616名であった。学校側からは、授業中の児童の態度・雰囲気、授業後の感想文などから、児童がいのちの大切さを実感するとともに、穏やかな気持ちになっていることが評価され、授業が効果的であったことが報告された。プログラムの取り組みとして、小学校教員と学外の専門家(研究者)が協働する利点が示される中で、教員の業務が多様の中で授業を準備する困難さも出された。保護者からは、思春期が始まる前からの家庭における性教育の取組みについての理解が得られていた。また、具体的な家庭における実施内容についての報告も認められた。プログラム開始前に、家庭で性教育をしている保護者は16.6%であったが、プログラム後は1か月においては67.4%であった。 中学校では、中学校2年生の生徒および保護者を対象に2校でプログラムを実施した。参加者は、生徒182名、保護者157名であった。保護者からは、子どもたちの性に対する状況が理解できた、子どもといっしょに話を聞くことで子どもに性の話をしやすくなったという回答があった。一方で、学校に任せたいとの回答もあった。保護者のみを対象としたプログラムでは、具体的な対応を聞くことで参考になったや子どものことを少し客観的に見てみようなどの意見が聞かれた。一方、2校以外に5校からプログラムの希望があったが保護者の参加を呼びかけられず、プログラムを定着させることでの大きな課題が残った。 研究全体を通して、小学校3年生における子どもと保護者を対象にしたプログラムは、保護者が自信をもって家庭で性教育をすることへの効果が示された。一方、中学校では、学校の理解も含め、保護者へのプログラムを開催することへの課題が残された。
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