研究課題/領域番号 |
24593358
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
林 はるみ 新潟大学, 経営戦略本部, 准教授 (80529397)
|
研究分担者 |
定方 美恵子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00179532)
宮坂 道夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30282619)
佐山 光子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50149184) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 生殖補助医療 / 妊娠 / 男性 / 夫婦関係 / 経験 / ケア |
研究実績の概要 |
日本の生殖医療技術の発展と普及はめざましく、日本産婦人科学会によると2015年は全出生児の21に人に1人が生殖補助医療(以下、ART)によって誕生した。不妊治療の長期化による夫婦関係の悪化が指摘されているが、妊娠判明後は夫婦関係が修復されるのか明らかではない。また、妊娠判明後、女性は流産の不安や胎児喪失を恐れ育児用品の準備をしないなど母親役割遅延の指摘があるが、夫はどのような経験をしているのか国内で研究報告はないため、不妊治療から育児期へとつながるケアを検討するには男性の立場も考慮する必要がある。 本研究では不妊原因は問わずARTで子どもが誕生した初産の夫婦を募集し、自由意思で参加した夫婦のうち特異な例を除く8組(16名)を参加者とした。夫婦の年齢は30歳代~40歳代、不妊治療期間は1~6年、不妊原因は男性因子、女性因子、男性・女性因子、原因不明があり、偏りなく情報が得られる参加者であった。夫妻が同席しない個別面接の内容を質的帰納的に分析した結果、男性の経験から13のカテゴリーを抽出した。男性の特徴は【流産するかもしれない不安】をもち【流産を意識した心の準備】をする一方、同様の不安を持つ妻のサポートもしていた。妊娠期を通して【胎児に悪影響を与えないように妻に気配りする】が、しばしば自己の気持ちを抑制した。また、【妻が満足するサポートができない】と感じることもあった。他方、女性はこのような男性の気配りを肯定的に捉えているが、看護職者は男性のストレスに留意する必要性が示唆された。夫婦ともに流産の予期不安をもつ妊娠初期にケアニーズが高いため、個々の夫婦の治療背景等を考慮したケアが必要である。また、その際はパートナーに言えない悩みがないか、夫婦に個別に声かけすることの有効性が示唆された。今後は、不妊原因による妊娠期の経験の違いを把握し、より具体的なケアを検討することが課題である。
|