研究課題/領域番号 |
24593360
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 綾子 大阪医科大学, 看護学部, 教授 (00313742)
|
研究分担者 |
波崎 由美子 福井大学, 医学部, 講師 (80377449)
林 由梨 自治医科大学, 医学部, 助教 (30626809)
松木 健一 福井大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10157282)
佐々木 くみ子 大阪医科大学, 看護学部, 准教授 (00284919)
西頭 知子 大阪医科大学, 看護学部, 助教 (90445049)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 子宮頸がん検診 / 育児期母親 / 看護介入プログラム |
研究概要 |
【研究1】病院や地域で子宮頸がん好発年齢の母親に関わることの多い助産師20名に、看護職指導者養成セミナーを行い、その効果検証を目的とした。うち有効な回答が得られた13名を分析の対象とした。その結果、セミナー受講前より後の方が、子宮頸がん・検診・HPVクチンの知識・理解度とも有意に高かった。グループワークの結果から、現在育児期母親への啓発の機会は少なく、今後可能な機会として、産後1か月検診、ベビーマッサージ、育児相談、母親学級、乳房マッサージ、予防接種などがあげられた。 【研究2】子宮頸がん好発年齢にある育児期母親(子育て支援センター)の検診意識向上をめざしたセミナーの効果検証を目的とした。母親50名を定期的な子宮頸がん検診の有無により、「検診あり群」16名、「検診なし群」34名に分け、子宮頸がん・検診・HPVワクチンに関するセミナー前後の自記式質問紙調査により比較した。その結果、2群それぞれのセミナー前後の理解度の比較では、両群ともセミナー前より後の方が、有意に高かった。セミナー後の感想では、両群共通のカテゴリーとして「理解の深まり」「わかりやすい」「検診意識の高まり」「将来母娘間で子宮頸がんの話を共有したい」が抽出された。これらに加え「検診なし群」では「関係ないと思っていたが考えが変わった」などが抽出された。 【研究3】子宮頸がん好発年齢にある育児期母親(幼児園)の検診意識向上をめざしたセミナーの効果検証を目的とした。母親200名のうち有効な回答が得られた171名を分析の対象とした。その結果、セミナー前より後の方が、子宮頸がん・子宮頸がん検診・予防ワクチンの理解度が有意に高く、検診意識も有意に向上した。 以上のことから,本プログラムおよびセミナーが子宮頸がん好発年齢にある育児期母親の子宮頸がん検診意識向上に有効であったことが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
指導者マニュアルを用い、病院や地域で、子宮頸がんの好発年齢の母親に関わることの多い、助産師20名に子宮頸がん啓発のための看護職指導者養成セミナーを実施した。さらに、基礎データ収集として、育児期母親の検診意識向上をめざしたセミナーの効果検証を行った。その結果、看護職指導者の、子宮頸がん・検診・HPVクチンの知識・理解度を向上させた。また、本セミナーは子宮頸がん好発年齢にある育児期母親の子宮頸がん検診意識を向上させた。これらのことから、本看護介入プログラムが有効であったと考えられた。しかし、育児期母親の基礎データ収集に予定した以上に期間を要した。このため、看護職指導者養成セミナーの実施が助産師20名のみで、予定の人数より少ない結果となった。次年度はマニュアル、パンフレットの内容を修正し、当初予定した人数の看護職指導者養成セミナーを実施し、指導者による育児期母親へのセミナーを実施予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
<第1段階:看護職指導者用マニュアルを用いた指導者養成セミナー実施・評価> 子宮頸がん啓発のための看護職指導者養成セミナーを実施する。平成24年度版を修正した指導者マニュアルを用い、病院や地域で、子宮頸がんの好発年齢の母親に関わることの多い、看護職に指導者養成セミナーを実施する。1.期間:平成25年4月~平成26年3月、2.対象:勤務助産師・看護師(200名)、3.データ収集方法 1)セミナー実施:講義・演習から構成された1時間程度のセミナーを各指導者集団に各1回実施する。看護職指導者用マニュアルを使用する。2)指導者セミナー前後の理解度質問紙調査を実施・評価する。 <第2段階:看護職指導者による育児期母親小集団へのミニセミナーの実施・評価> 1.期間:平成25年6月~平成26年3月 2.対象:福井県内で研究協力に同意を得られた育児期母親1000名、3.データ収集方法 1)ミニセミナー前後質問紙調査 2)ミニセミナー実施内容:小冊子を用いた15~30分程度の対面式のミニセミナーを小集団10~15名程度に実施する。 <第3段階>平成26年4月~平成27年2月:平成25年度の内容に準じ、セミナー内容を評価・修正・実施する。 <第4段階>平成26年4月~平成27年2月対象者のうち重点実施モデル地区の母親世代の検診率をプログラム実施前(平成23年度)と実施後(平成24、25、26年度)で比較する。プログラムを完成させ、研究成果を公表する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額に当該助成金が生じた理由として、研究は実施していたが、既存の物品で賄えたため新たな費用が発生しなかったこと、研究の対象者数が当初予定していた人数より少なくなったことがあげられる。次年度はマニュアル、パンフレットの内容を修正し、平成24に実施できなかった対象者を25年度に合わせセミナーを実施する。このため、次年度使用額は必要な経費であり、次年度使用額と次年度に請求した研究費を合わせて下記のものに充当する予定である。 平成25年度は、第1段階として、子宮頸がん啓発を行う看護職指導者養成セミナーの実施・評価を行う。指導者マニュアルを用い、病院や地域で、子宮頸がん好発年齢の母親に関わることの多い、看護職に子宮頸がん啓発を行う、指導者養成セミナーを実施する。疫学データや検診などの制度は年々変化するため、子宮頸がん関係の和・洋図書が必要である。子宮頸がん啓発用指導者マニュアル(200冊)の印刷経費が必要である。消耗品(インクカートリッジ、印刷用紙、USBなど)・文房具が必要である。セミナー時のプレゼンテーションにノートパソコンが必要である。セミナー時共同研究者の旅費が必要である。情報収集のための旅費が必要である。 第2・3段階として指導者による母親小集団に対するミニセミナーを実施・評価する。子宮頸がん啓発用小冊子(1000冊)が必要である子宮モデル(100個)が必要であるデータ解析用の解析ソフトが必要である。データ入力のための謝金が必要である。ミニセミナーを実施する研究補助者への謝金が必要である。
|