研究課題/領域番号 |
24593361
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小林 康江 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (70264843)
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研究分担者 |
渡邉 竹美 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (90279919)
中込 さと子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (10254484)
窪田 陽子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 医学研究員 (50625192)
丸山 和美 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (50377488)
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キーワード | 助産師卒後教育 / プライマリーケア / 教育プログラム |
研究概要 |
本研究は、診療所と大学が連携・協働し、新人期から3年間でローリスク妊産婦に対する妊婦健康診査、分娩管理、産後の母子までトータルケアができる助産師を育成する教育プグラムの構築・実施・評価を行う。1年目は分娩管理と産褥母子のケアを実践を目指す。分娩介助10例毎の到達度とし第1段階「強化」、第2段階「独り立ちを目指す」、第3段階「チームの一員として独立」、第4段階「自立」を設定した。 【教育プログラムの実践】教育は、助産師が主となり大学教員が支援し実施した。第1段階は、入院から分娩後2時間・帰室までを継続して受け持ち、分娩以外は、業務オリエンテーションや外来で採血等を実施した。第2段階は、分娩担当と出生直後の新生児ケアを交互に実施、分娩進行状況で勤務時間を延長、分娩がない時は、産褥母子や外来での診察介助等実施した。第3段階は、母子を担当し、分娩担当では進行状況で勤務時間を延長した。第4段階は、スタッフと同じ実践を行った。1年間の分娩介助は62例だった。 【各段階別に獲得した能力】第1段階「分娩経過を判断する能力」、第2段階「リスクアセスメントを行い分娩進行を予測する能力」、第3段階「行ったケアに対する評価、責任をもってケアする能力」、第4段階~1年目「時期を逸することなく早めに医師との調整を図る能力」である。 【2年目教育プランの構築】妊婦健診の自立を目指し、週1~2回外来診療・妊婦健診を実践する。5~6月までに超音波検査にて計測部位を正確に描写できる、以降10月頃までに正確に諸計測ができる、その後ケースを受け持ち妊婦健診・保健指導を実施するプランを作成した。 【新人助産師研修会の企画・運営】「自分のキャリアを考える」、「分娩進行の臨床判断」、「母乳育児を支える助産師のケア」を実施した。成果は、山梨大学看護学会、日本助産学会、助産雑誌にて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【教育プログラムの実践と評価】1年目の教育は、クリニック助産師により計画通りに行われた。クリニックでは、新人を受け入れることが初めてであり、看護スタッフの調整は綿密に行っていたが、共にチーム医療を実践する補助者に伝わっていなかった。師長より補助者に対する説明を実施し、クリニック全体で新人を育てる環境ができあがった。段階別の到達度を検討するにあたりインタビューを実施した。しかしインタビューでは臨床判断能力は見えにくいことが明らかとなった。そこで、1年間の到達を検討する機会では、新人が事例の紹介、そのときの判断について説明する事例検討を取り入れた。事例検討には、クリニック助産師・看護師、院長、大学教員が参加し、新人が提示した2事例を検討した。事例検討を通して、臨床判断能力や新人が戸惑っている事項が明確になった。そこで、平成26年度からは、毎月新人の事例検討、必要時2年目の事例検討を実施する予定である。 【研修会の企画・運営】助産師基礎教育の評価を兼ね、本学卒業生を含む県内新人助産師の研修会の実施を通し、施設により1年間の進捗状況が異なり、フォーカスグループインタビューを実施しなかった。研修会に参加した卒業生の言動から、助産師基礎教育で教育した内容が、臨床現場で継続し、定着させていくことが難しいことがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度:【教育プログラムの実践と評価】4月に新人を2名(大学卒、大学院卒)迎えた。新人教育1年目の実施、並びに2年目の実施を行う。臨床での教育はクリニック助産師、事例検討は大学教員が主になり教育にあたる。また、2年目の超音波診断技術の獲得には、医師があたる。毎月1回の事例検討を通し、到達度と、継続教育の評価を行う。【3年目教育プランの構築】3年目の目標「妊婦健診から産後1か月まで継続した助産ケアが自立して実践ができる」達成にむけた研修プログラムを構築する。【成果発表】平成26年6月プラハで開催される第30回国際助産師連盟学術集会で発表する。演題名は“A TRAINING PROGRAM IN PRIMARY MIDWIFERY CARE FOR NOVICE MIDWIVES IN JAPAN”である。さらに、諸外国の新人助産師教育の状況について、学会に参加する国外の助産師やプラハの出産施設の視察を通し情報収集を行う。これらの成果は国内雑誌にて発表を行う。【研修会の企画・運営】昨年同様、研修会を年3回企画する。助産師基礎教育の評価は、研修会を通して行う。 平成27年度:【教育プログラムの実践と評価】平成25年度から教育を開始した助産師が3年目になる年度である。1年目、2年目、3年目それぞれの教育と評価を行う。本成果を、国内の関連する学会で発表する。 平成28年度:研究最終年度とし、「継続助産ケア実践研修プログラム」を3年間実施することで獲得される助産師の臨床判断能力やケア能力について明らかにする。本成果を、国内の関連する学会で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画では、平成25年度は、情報収集とプログラムの作成であった。しかし、平成25年4月より新人助産師教育の実施となった。計画を修正し「1年目の継続助産ケア実践研修プログラム」を作成したため余剰金が生じた。 次年度の研究費と合わせ主に次の内容での使用を計画している。 1.助産師の到達状況の明確化のための事例検討会・合同検討会(12万円):月1回企画・実施するための、旅費、会議費。(1回あたり1万円)2.新人助産師研修会(15万円):年3回企画し、講師交通費、謝金を計上する(1回あたり講師謝礼3万円、旅費2万円)。3.成果発表(1,018,440円):第30回国際助産師連盟学術集会で発表する。ポスター作成のネイティブチェック(5万円)、旅費(444,220円×2名)。国内の助産関連の学会で発表する(8万円)。
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