研究課題/領域番号 |
24593361
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小林 康江 山梨大学, 総合研究部, 教授 (70264843)
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研究分担者 |
渡邉 竹美 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (90279919)
中込 さと子 山梨大学, 総合研究部, 教授 (10254484)
窪田 陽子 山梨大学, 総合研究部, その他 (50625192) [辞退]
丸山 和美 山梨大学, 総合研究部, 助教 (50377488)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 助産師卒後教育 / プライマリーケア / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は、診療所と大学が連携・協働し、新人期から3年間でローリスク妊産婦に対する妊婦健康診査、分娩管理、産後の母子までトータルケアができる助産師を育成する教育プグラムの構築・実施・評価を行う。H26年度は、2名の1年目助産師、1名の2年目助産師の教育を実施した。 【教育プログラムの実践】教育は、助産師が主となり大学教員が支援し実施した。1年目助産師2名の分娩介助・新生児受け件数は、56・22件、57・21件であった。2年目助産師は、分娩介助を35件実施した。妊婦健診の教育は、超音波技術は医師、保健指導は助産師が指導した。週1~2回外来診療・妊婦健診を通し、約100例の超音波を実践し、妊娠の診断から継続産後1ヵ月までの継続事例を3例担当し始めた。毎月1回の事例検討を通して臨床判断の改善点について検討した。【獲得した能力】1年目助産師は、分娩進行の臨床判断に必要な基本的な情報収集、査定、ケア、評価は実践できるようになった。事例検討を通して、優先事項の決定、同じような状況下で感じる困難が明らかとなり、引き続き事例の振り返りの必要性が明確になった。2年目助産師は、超音波にて測定部位の描写、計測を必要時医師の指示を受けながら実施できるようになった。【3年目教育プランの構築】継続し妊婦健診の自立を目指すこと。加えて継続妊婦の分娩後から産褥1ヵ月までのフォローを通し、ローリスク妊産婦に対する妊婦健康診査、分娩管理、産後の母子までトータルケアができる助産師の育成を目指す。【助産師研修会の企画・運営】1~3年目の助産師を対象に「出生直後から早期新生児のケア」、「分娩進行の臨床判断」、「産後のケア-小集団対象の参加型保健指導-」を実施した。【成果発表】第30回国際助産師連盟学術集会(6月プラハ)、山梨大学看護学会(11月)、日本助産学会(3月)にて公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【教育プログラムの実践と評価】医療の質の評価視点である、構造・過程・結果に分けて達成度を検討する。構造:クリニック全体で新人を育てる環境ができた。新人助産師を教育するというクリニック職員の意識の向上、クリニックで新人教育を実施できるという看護者の自信の醸成ができた。また看護基準や手順が完成し、必要時改定することができるようになった。過程:1年目の教育については、10例毎のマイルストンの設定とその時期毎の目標に到達することが明らかとなった。2年目の教育では、超音波の技術習得が優先される傾向にあった。結果:1年目助産師は、ローリスクの分娩について必要時相談、指示を受け管理する力を獲得した。2年目助産師は、必要時相談、指示を受け超音波を用いて計測する力を獲得した。保健指導は、妊婦との対話を通し個別性に合わせた保健指導内容とすることが難しく、3年目以降の課題となった。また、さくら産院(栃木県さくら市)を訪問し、新人助産師教育について意見交換を行った。以上から、H27年度は、妊婦健診の教育の展開として、妊娠期を4段階に分け、それぞれの目標を設定した。 【研修会の企画・運営】本学卒業生を含む県内1~3年目の若手助産師の研修会の実施を通し、参加した卒業生の言動から、助産師基礎教育で教育した内容が、臨床現場で継続し、定着させていくことが難しいことがわかった。 【諸外国の情報収集】第30回国際助産師連盟学術集会(6月プラハ)に参加し、諸外国の助産師から情報収集を行った。本プログラムの1年目の教育内容は、諸外国においては助産師基礎教育のレベルであり、助産師基礎教育の成果発表と受け取られることが多かった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度:【教育プログラムの実践】4月に新人を2名(大学卒)向かえた。新人教育1年目の実施、並びに2年目、3年目の実施を行う。平成26年度同様、臨床での教育はクリニック助産師、事例検討は大学教員が主になり教育にあたる。2年目助産師の教育展開として、1年間を4段階に分け、それぞれの時期・目標を設定した内容を実施し、妊娠期のケア能力の獲得状況を明らかにする。【教育プログラムの評価】毎月1回の事例検討を通し、到達度と、継続教育の評価を行う。適宜2年目以降の事例検討も実施する。H26年度の事例検討会の議事録を質的に分析し、1年間の臨床判断能力の推移を明らかにする。【研修会の企画・運営】昨年同様、研修会を年3回企画する。助産師基礎教育の評価は、研修会を通して行う。 平成28年度:研究最終年度であり平成25年度から教育を開始した助産師が4年目を迎える年となる。さらに2名の3年目助産師の教育プログラムが終了する年度である。「継続助産ケア実践研修プログラム」を3年間実施することで獲得できる助産師の臨床判断能力やケア能力について明らかにする。本成果を、国内の関連する学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年4月より新人助産師教育の実施となった。計画を修正し「1年目の継続助産ケア実践研修プログラム」を作成したため余剰金の繰越が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
科研費技術者として、助産師有資格者を雇用する。データ分析の準備並びに整理を依頼する。
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