研究課題/領域番号 |
24593365
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大井 伸子 岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (60155041)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 胎児診断 / 先天性心疾患児の母親 / 愛着形成 / 親子関係 / 心理過程 |
研究概要 |
本研究は、妊娠中に胎児診断された先天性心疾患児の母親を対象に、妊娠期間中、分娩時、出産後半年までの期間について、母親の心理過程、児への愛着と親子関係の変化を、縦断的に解明するものである。1.妊娠中の母親の心理状態、胎児感情、胎児への愛着を明らかにする。2.分娩中から分娩直後の、母親の心理状態、子どもへの愛着、親子関係を明らかにする。3.出産早期の、母親の心理状態、子どもへの愛着、親子関係を明らかにする。4.子どもが手術し退院するまでの、母親の心理状態、子どもへの愛着、親子関係を明らかにする。5.子どもが退院後の母親の心理状態、子どもへの愛着、親子関係を明らかにする。 本研究は、事例を経時的に追跡し一定数をまとめるために、4年間の予定で計画するものである。研究対象者は、胎児が先天性心疾患と診断され妊婦健診を受けている女性で、研究の目的を説明し同意の得られた者とする。調査方法は半構成的面接法による聞き取り調査で、調査の時期は(1) 妊娠期間(①胎児が先天性心疾患と診断され告知された直後、②妊娠36週頃)、(2)分娩~産褥入院期間、(4)児が入院中(①子どもがNICU入院中、②手術後小児外科病棟入院中)、(5)児が退院後(退院後1か月以内)である。 研究対象が妊娠中に胎児診断された先天性心疾患児の母親であるため、対象者に心理的な負担をかけず、調査を円滑に行うため今年度は事前調査や予備調査を10症例行った。その結果、胎児が先天性心疾患と診断された母親の心理的負担は大きく、児を救命するための医療に関する情報や出産する医療機関を選択する上での情報を入手する行動がみられていた。また、出産後は妊娠中より児への愛着はより深まり、母乳育児を希望する者が多かった。しかし、児の姑息的手術後に、付き添いにつくことによる母親の身体的負担は大きく、体調不良や母乳分泌がが減少する者がいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の対象者は、胎児が先天性心疾患と診断された女性で、妊娠期間中から面接による聞き取り調査を行う予定であるので、特に対象者への負担や倫理的な視点より、調査計画を綿密に検討することが求められた。そのため、事前調査と予備調査を行い、調査結果を検討して本調査を行うこととした。予備調査を10症例行った結果から、対象者への調査内容や調査時の説明などについての検討を行った。今後、胎児が先天性心疾患と診断された母親に対して、十分な説明と倫理的な配慮を行い、(1) 妊娠期間(①胎児が先天性心疾患と診断され告知された直後、②妊娠36週頃)、(2)分娩~産褥入院期間、(4)児が入院中(①子どもがNICU入院中、②手術後小児外科病棟入院中)、(5)児が退院後(退院後1か月以内)の時期に、縦断的な調査を行う。
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今後の研究の推進方策 |
1.平成24年度の計画内容と同様で、各事例についての調査方法は、半構成的面接法による聞き取り調査を行う。研究対象者は、胎児が先天性心疾患と診断され、岡山大学病院で妊婦健診を受けている女性で、以下の基準を満たす者。1)岡山大学病院で出産し、新生児がNICUへ入院予定の者、2)病院日帰りで家庭訪問可能な距離に居住している者、3)研究の目的を説明し、同意の得られた者。 【調査方法】調査場所は、岡山大学病院の産科外来、周産母子センター及び小児外科病棟、小児外科・小児科外来、退院後の各家庭とする。 調査内容は、1)妊娠中の状況(妊娠経過中の経過、胎児が先天性心疾患と診断され告知された時の気持ち、母親の心理状況、胎児感情と胎児への愛着、親子関係、パートナーを中心とした家族状況)、2)分娩時の状況(分娩中の母親の状況、分娩に対する印象・感想、子どもへの愛着、親子関係、パートナーを中心とした家族の様子)3) 産褥入院中の状況(母親の産褥経過、母親の心理状況、子どもへの愛着、親子関係、パートナーを中心とした家族状況)、4) 児が入院中(母親の退院後の経過と生活状況、母親の心理状況、子どもへの愛着、親子関係、パートナーを中心とした家族状況)、5)児が退院後の状況((母親の退院後の経過と生活状況、母親の心理状況、子どもへの愛着、親子関係、パートナーを中心とした家族状況)育児行動と育児へ印象の影響。調査方法は、半構成的面接法による聞き取り調査を行う。 調査時期は、1) 妊娠期間中(①胎児が先天性心疾患と診断され告知された直後、②妊娠36週頃)、2)分娩直後、3)産褥入院中(①産後2日目頃、②退院直前)、4)児が入院中(①子どもがNICU入院中、②手術後小児外科病棟入院中)、5)児が退院後(退院後1か月以内)
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次年度の研究費の使用計画 |
資料収集:図書購入費、資料提供・閲覧、消耗品 面接調査および質問紙調査、データ収集:設備備品費、通信費、消耗品、交通費(岡山県内か日帰り可能な近隣の県) データ入力および整理:謝金 データ分析:消耗品、設備備品費 国内旅費:成果発表の旅費
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