産褥期の超音波画像の診断として、乳腺幅をいつ計測するかが重要であることから、授乳前後の乳腺組織の厚さについて、調査を行った。『分析対象者は初産婦15名,経産婦33名の計48名,乳房数91であった。乳腺組織の厚さは,授乳前が平均値33.6±8.86㎜,授乳後が平均値32.0±8.47㎜であり,授乳前後で有意に減少した(p<0.01)。乳腺組織の厚さの差と授乳量で,弱い相関があった(r=0.27,p<0.01)。さらに初産婦では有意な相関を示したが(r=0.40),経産婦では相関がなかった(r=0.19)。』の研究結果について、第11回ICMアジア太平洋地域会議・助産学術集会(2015年)で発表を行い、日本助産学会誌に論文を投稿中である。 また、産褥早期と産後1か月の両方の超音波画像が得られ、産後1か月時に母乳栄養であった初産婦6名、経産婦2名の11名を研究対象とし、画像分析を詳細に行った。 『産褥早期(2~4日目)に比較し、産後1か月では乳頭横の乳腺幅が有意(p<0.05)に減少し、乳汁貯留像の直径が増大していた。また、産褥早期には粗目(細かい点状)の画像が多く見られたが、産後1か月では、線葉境界面が明確となり、周囲間質と浮腫状間質の違いがより鮮明となった。 産褥早期はうっ積やうつ乳により、乳房内全体に血液や乳汁が貯留し、間質の違いが不明になったと考えられる。産後1か月では湧き乳への変化が見られるため、うつ乳でない時は、乳房内画像において乳腺幅は減少し、線葉境界面や間質は浮上し、小葉を含んだ周囲間質と脂肪を含んだ浮腫状間質の違いが明らかになった。』の研究結果について、第11回ICMアジア太平洋地域会議・助産学術集会(2015年)で発表を行った。
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