研究課題/領域番号 |
24593368
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
江藤 望 宮崎大学, 農学部, 准教授 (90232959)
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研究分担者 |
河原 聡 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30284821)
窄野 昌信 宮崎大学, 農学部, 教授 (70253515)
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キーワード | 乳腺炎 / フルクトース / NFκB |
研究概要 |
乳腺炎の発症は、母乳育児を困難にする。発症危険因子として経験的に食事があげられているが、科学的根拠は全く解明されていない。このため、統一したガイドラインが存在せず、母親たちを混乱させている。本課題では食事成分が乳腺炎の危険因子であることを実験的に証明することを目的とした。 昨年度までにスクロースを多量に摂食した親マウスは、仔が離乳した際に炎症を発症することを血中CRP、乳腺組織中の好中球数の計測により確認していた。今年度は、ショ糖を構成する単糖を対象にマウス摂食実験を実施し、グルコースよりもフルクトースを摂食した場合に肝臓と共に乳腺組織でもNFκB経路が活性化されていることを確認した。食餌成分による乳腺炎の発症、或いは重篤化に乳汁のうっ滞が必要か否かの問いに対し、好中球の遊走を指標にした場合では、食餌成分と乳汁のうっ滞の二つの要素が炎症発生に必要と考えられたが、シグナル伝達を指標にすると、乳汁のうっ滞刺激無しでもフルクトースを過剰摂食するだけで乳腺組織に炎症反応が起きていることが見いだされた。 さらに、マウス乳腺上皮細胞株HC11を用いて糖質の影響を確認したところ、分化誘導期及び退縮期において炎症関連遺伝子の発現上昇がフルクトース培地の方で確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳腺炎の発症には、食餌成分の要素と乳汁のうっ滞の要素の両者が同時に必要であるわけではないことが示唆され、最も重要な問いに答えられたことから、概ね順調に進展しているものと考えられる。 しかし、動物実験において、母子隔離により強制離乳し親マウスの炎症を検討する計画であったが、母子隔離が動物に与える苦痛の度合いが低く見積もられているとの学内委員会からの指摘により、計画承認と実施に遅延が生じた。この影響から、親マウスの臓器における遺伝子発現解析などは行えたが、乳汁や血液の分析は次年度に回すことになり遅延が生じた。 一方で、当初は予定していなかった乳腺上皮細胞由来細胞株を用いた実験が速やかに進行したので、in vitro実験は概ね順調に進展しているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、昨年度やり残した血清分析及び遺伝子発現解析を完成させたい。また、乳腺上皮細胞から脂肪細胞への分化転換、及び炎症反応に及ぼす食餌成分の影響を検討したい。更に、フルクトースによる乳腺組織の炎症が肝臓組織の炎症とは独立して起こるのかどうかを培養細胞を用いて検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
血清分析に遅延が生じたため。 来年度に実施する血清分析に使用する。
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